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2005年10月29日

秋の海の闇

カテゴリー: ピスカリア

今日は夕方まで自宅で作業の後、I邸に出かける。
大工の後藤さんやIさんと打ち合わせ。

訪れた習慣で、一人海に足を運ぶ。
午後7時半頃だっただろうか。
世間は夕餉を楽しんでいる時間帯。
しかし秋の夜の海は、予想以上に深い闇の中だった。

波の音が闇の中で迫るように強く響く。
波の音にかき消されるためか、他に何も聞こえない。

足元は砂浜なので、思うように歩が進まない。

向こうでは、灯台がせわしなくくるくると光って回っている。
闇の中で暴れているようにも見える。

秋の夜の海は、恐怖さえ感じる空間だ。

打ち合わせが終わりかけた頃、隣のHgさんが現場に来てくれた。
現場に入ると開口一番、「あたたかいですね」。
まだ吹きさらしに近い状態なのに。

白熱球が照らす赤い色がそう感じさせてくれるのか。
それとも、乾き始めた土壁の保温効果なのか。

言われてみれば、肌寒くなってきた外に比べれば、ほんのり心地よくあたたかい感じがした。

海の様といい、「あたたかい」という言葉といい、間違いなく季節が移ろいでいる。
もうさすがに葉山にも夏の残像はない。
少し寂しい気がした。