ブログ
2007年1月22日

タカラサガシから始まる物語

カテゴリー: 今日のできごと


また少し話は遡りますが、
先週は、仲間と‘宝探し’に勤しんでおりました。

といいますのも、
鎌倉の築70〜80年のとある瀟洒な洋館が
その生涯を閉じようとしたのですが、
とても興味を引く建物だったので、
せっかくだからせめて、
その‘形見’をいただき、
それを別の形で活用しようと、
建具だの柱だのを、
現場作業員のご厚意で
引き取らせていただいたのです。

それはまるで瓦礫の中での宝探しのようで、
内心ワクワク、コーフンしながらの仕事でした。

この建物は、
昔ながらの木造建築の技術を踏まえつつも、
この現代においても斬新と感じる意匠計画で、
日々「‘伝統’を‘現代’に表現する」ことを
めざしているきらくなたてものやとしては、
たいへん興味深い建物で、
余計にそのコーフン度は高まったのであります。

そしてやはり、
まちの人たちにとっても目を引き、
関心の高い建物だったようで、
私が現場で作業している間も、
まちゆく人が目の前で歩みを止め、
「もったいないねー」という声が
たくさん聞こえてきました。

今の世の中
そうした声があったとしても、
文化財とかではない限り、
こうした古い建物が
どんどん壊されています。

そうしたまちの声を反映し、
なんとかそうした建物が
残りうるしくみはないものかと思う一方で、

今私たちがすぐにできることがあるとすれば、
形見を受け継いでいくことくらいで、
それを一つ一つ、
現代のカタチにととのえることで、
古きよきものを受け継いでいく文化を、
作っていくことができれば、と思います。

まちのしくみの切なさや、
それをどうすることもできない無力感を嘆くよりも、
まずは自分のできる、
あるいは身の回りにある
‘宝探し’からですね。

しかも‘タカラサガシ’って聞くと、
何だか楽しいことが
始まりそうではありませんか。

さてこの‘形見’を、
どのように受け継いでいくかは、
乞うご期待!

2007年1月21日

まちを感じる家

カテゴリー: えこびれっじ


「きのかの家」は、
「家」ができたというよりは、
「まち」が現れた、
もしくは、
「まち」ごと移住してきたのだと、
錯覚するときがよくあります。

建物の中にいろいろな「場面」があり、
路地のように入り組んだ通路も
そう感じさせる一因ですが、
できて間もないというのに、
常に住む人たちのふれあう音が
聞こえてくるからだと思うのです。

2007年1月17日

忘れじの時

カテゴリー: 今日のできごと

今日の5時46分、
机に向かい始めた時間です。

12年前の5時46分、
ちょうど寝入った時間でした。

去年の今日も書きましたが、
12年前私は京都に住んでいて、
京都でも激しい揺れ(震度5)を、
まざまざと、感じた日でした。

もしかしたら、今、
構造を開き、
手を入れることのできる建物を
志向しているのは、

あのときの経験が
あるからかもしれません。

いやあの経験は、
生かし続けなければ、
いけないのです。

2007年1月15日

春日和

カテゴリー: えこびれっじ


最近、暖かい日が続いています。

本当に、冬なのだろうか。
太陽の陽を浴びていると、
まるで春が来たようです。

とくにきのかの家の屋上は、
よく陽が当たるので、
そのように感じます。

実は今日、
ここでお昼ごはんをいただきました。
あ〜、気持ちよかった。

暖冬も、たまにはいいか(笑)

2007年1月12日

「目」の字の改修工事

カテゴリー: 改修の仕事


話は遡るのですが、
昨年末、鎌倉で「目」の字の改修工事を行いました。

その家とは、
昨夏開催した山梨での「山仕事塾」の帰り道に
初めて出会いました。

私より少し‘年上’のその家は、
三連泊した山梨から帰ってきて、
我が家の近所だったということもあったのか、
初めて会うのに懐かしい、

とくに夏の夕暮れどき、
白熱球に照らされた
畳と細格子の間に居ると、
そこに居合わせた小学生のSZちゃんが、
‘妹’と見紛うほどに、
自分が幼い頃に帰ってきたような気がする、
そんな家でした。

しかし一方でその家は、
大事な‘骨’がだいぶやられていて、
ナマズが暴れたりすると、
相当不安を覚える状態でもありました。

安心してその屋根の下で暮らせるために、
手を入れるべきお金のことを考えると、
普通に考えれば、
この家はもう、寿命なのかもしれない、
とも思ったのですが、

しかし、
背伸びしなくても済むお金の範囲で、
この懐かしい家が、
生き長らえることのできる術はないだろうかと、
建物作りをナリワイとする者の一人として、

また、もしこの問いに解を得たならば、
これも‘伝統’を現代に継承する、
一つの手段ではなかろうかということで、
何とかよい企みを考えてみたい、
そうした使命感のようなものが、
私の中で沸々と湧いてくるのでした。

そして建て主のIさんと話し合うこと数ヵ月、
行き着いた結論は、
既存の傷んだ木組みを敢えてそのままに、
そこに「目」の字の木組みを添えて、
建物を支える、というものでした。

そうすれば、
IさんとSZちゃんの手で塗った、
かわいらしい紅色の壁も、
壊さずに済みますしね。

ところで、なぜ「目」の字だったのかというと、
まずは耐震補強によく使われる筋交いの、
「×」の字を家の中で描くのが、イヤだった(笑)。
往々にして金物も見えてしまいますしね。

その代わり、
三尺四寸角の二本の横の木で軸組を固め、
それが結果的に「目」の字となりました。
伝統構法で使う「貫」の応用です。

それと、二本の横の木のところに、
何か飾る余地ができる、
あるいは、
きっと子どもが登って遊んでくれるといいな、
という思惑もあったのですが、
年末私が家を訪れると、
そうした思いが通じたのか、
SZちゃんがそこに登って遊んでくれていたので、
「ヨシヨシ」と、心の中で叫ぶのでした(笑)。

この改修工事の結果、
建て主のIさんのほうでも、
これを契機にいろいろヒミツの企みが出来たようで

施工面積わずか0.3㎡ではありましたが、
お互いに大きな意味を持つ、
とても楽しい仕事となりました。

それでは、Iさん、
ヒミツの企みを、楽しみにしてまーす!

2007年1月11日

初詣は三井寺(園城寺)

カテゴリー: 今日のできごと

初詣は、近江の国の三井寺に行きました。

三井寺は、とても大きな境内の中に、
風格のある金堂だったり、
三重の塔だったり、
高台に組まれた「小」清水寺のような舞台だったり、
六角形の屋根だったり、
末広がりの鐘楼だったり、
様々な種類の建物を見ることができて、
私のような仕事をする身としては、
とても楽しかったりします。

人があまり居ないのも、いい!

ということで、撮った写真を何点か。
部分的なものばかりですが、
全体については、
実際に足を運んでのお楽しみということで。


鐘楼の、細かい間隔で連続する、
野太い垂木。
妻側から覗く光に照らされた陰影が、
何ともたまりません。
連続が強調される、
こういう印象の小屋組がとても気に入っていて、
設計する際に参考にしていたりします。


昔の建物の雨の道を見るのも、
意外と面白いものです。
よくよく見ると、
割と大胆なことしていること、
多いですね。
あの金閣寺も、
実は野太く雨樋が見えていますよね。
しかし、あまり気にならないのはなぜでしょう。
きちんと意匠計画がなされているからなのでしょうか。


蔀戸。
割と古くからある、建具の機構ですね。
意匠上機能上気に入っていて、
一度自分の設計の中で、
取り入れてみたなあ、と思っています。


昔の人たちの意匠って、
案外ファンキーだったりするんですよね。
なお、真ん中に見えるのは、
開き戸の‘木製ピボットヒンジ’です。


荒壁と焼杉の外観。
寺でこうした意匠に出会うことは珍しいような。
それにしても関西の土は、白いですね。


丘の上に建つ舞台の、
通し貫の雨除け。
今回見つけた意匠の中で、
最も気に入りました。
割と手軽に機能を満たしていて、
それでいてカッコいいのがいい!


寺の境内のヒノキ林。
やはり人の手が丁寧に入ると、
森は美しいですね。


(番外編)
子どもたちがこれを見て、
「焼肉じょこう!」と叫んで、ケラケラ笑う。
子どもたちよ、
いくら殺生を禁じる寺だからといって、
これは「焼肉除行」ではない。

「境内(けいだい)」と言うのです。

2007年1月7日

今年の正月は

カテゴリー: 今日のできごと


正月は5日間、ヨメの実家の滋賀県へ。

子どもたちはイトコと遊び、
私は座敷の座卓をお借りして、内職。

ちょうどよい巡り合わせで、
幾つか計画案を作るべき時期だったのですが、
おかげさまでこの正月、
いつもの仕事場を離れ、
ゆっくり、じっくり、
取り組むことができました。

賑やかな子どもたちを横目に、
じっと動かずに仕事をしていたので、
静かに温かに休む場を求めていた我が家の犬が、
ずっと私の膝の上に。
おかげでこちらも、
‘湯たんぽ’がわりでした。

普段はヨメに甘えてばかりの犬ですが、
思いがけず犬と関係を深めた
正月でした。

2007年1月1日

年賀状のことば

カテゴリー: 今日のできごと


皆さま、あけましておめでとうございます。

私はといえば、今頃年賀状をシタタめ、たまっていた日記(ブログ)を更新中(苦笑)。
昨年末は大わらわで、正月になったという実感が未だありませんが、しかし昨年末曲がりなりにも仕事が一区切りし、再出発に向けて、身体と心の準備を整えたいと思います。

さて、お世話になった皆さまへの年賀状の到着が数日後になりますので(笑)、この場をお借りして、年賀状にシタタめたことばを記したいと思います。

それでは皆さま、今年もよろしくお願いいたします。

・・・

昨年も、皆様の温かい協力のもと
すばらしい出会いと仲間に恵まれ
仕事と暮らしを楽しむことができ
とても充実した一年となりました

三月、
伝統的な構法で現代の表現を試み
そして建主と職人と設計者、皆が
手足を動かし楽しみながら作った
葉山のシチリア料理店ピスカリア

九月、
地元の方々の支援と、地域の素材
山仕事塾という名の参加型手法で
全国各地の有志の手で作り上げた
山梨黒森の唐松と土壁の野菜小屋

十二月、
昭和の高度成長期前夜に作られた
なつかしい日本の民家の佇まいを
残していきたいと思い取り組んだ
鎌倉の「め」の字の木組の改修工事

同じく十二月、
凡そ2年にわたり、29世帯皆と
エコヴィレッジという名の理念を
共有し、共に歩み共に作り上げた
鶴川の共働集合住宅「きのかの家」

そして「きのかの家」では半年以上
住民と力を合わせ杉板を焼き続け
その成果は想像以上に、感動的に
緑の映える美しい壁となりました

そして今年、
今年も引き続き「風土」と「伝統」を
現代に表すとともに、共働により
楽しくも心地よい、暮らし作りの
お手伝いができれば、と思います

皆様、よろしくお願いいたします

平成19年 元旦