ブログ
2007年10月17日

「タカラサガシから始まる物語〜家仕事塾の記録〜」を刊行しました

カテゴリー: 家仕事塾


今年2月から10回にわたり、
日本の伝統的な建築手法を体験的に学ぶ場として、
鎌倉のカジュ・アート・スペースにて
取り組んできた「家仕事塾」。

この模様を、
「タカラサガシから始まる物語〜家仕事塾〜」として、
小冊子にまとめました。

著者は、
せんだふみさん、
たなか牧子さん、
そして私、の合作。

参加者の視点で絵日記風に、
設計者の視点で技術論と理念、
主催者の視点で総括、
という3部構成、76ページにわたり、
この物語をとりまとめています。

またこの冊子は、
背表紙は、
参加者代表せんだふみさんが漉いた紙、
綴じ紐は、
主催者たなか牧子さんが紡いだ絹の糸で、
文字どおり手作りで、
実に雰囲気よく仕上がりました。

1部1,000円。

多くの皆さまに
ご購読いただければ幸いです。

2007年9月20日

芸術は人と地域を結ぶ

カテゴリー: 告知・連絡


10月16日〜28日にかけて、ドイツと鎌倉の芸術家たちによる芸術交流イベント「トラーベアートフェスティバル2007in鎌倉」が行われます。

期間中、毎日のように鎌倉の随所で楽しいことが繰り広げられますので、皆さん!秋の鎌倉を楽しみがてら、来てください。

それと写真は、
今回のイベント用に作ったエコバッグ。
このエコバッグは、このイベントに関わる書道家さんたちとイラストレーターUSHIOさんの協働作品ですが、一枚一枚、いろいろな方の手描きで作ったものなので、他にも楽しいデザインのエコバックがたくさん!
どれがいいか探す楽しみがありますし、買うといろいろ楽しいシカケがありますので、皆さんぜひ!
1枚700円です。

なお私は、このイベントに「建築」の分野で関わり、以下の催しを行います。

●家仕事塾 - 日本家屋の建て方 -
10月20日(土) 10:00-17:00
¥4500 (親子割引あり)

竹小舞をかき、泥壁を塗る・・・身近にある材料を有効利用して作られていた究極のエコハウス、日本家屋。
あなたも体験してみませんか。
*講師: 日高 保 (きらくなたてものや主宰)

●建築家といく鎌倉遊山!〜鎌倉の山と文化と料理を楽しむ〜
10月26日(金)9:00-
雨天中止(情報は公式サイトをご覧下さい)
JR北鎌倉駅改札(東慶寺側) 集合
¥1,500(昼食代込み) 定員20名

海と山と歴史のまち、鎌倉。その鎌倉の山とまちを、建築家をはじめ、各分野の専門家の解説付きで、朝から一日中練り歩きます。
そしてお昼は、箱膳で精進料理!「箱膳」という日本の昔ながらの食事の装置で、鎌倉ならではの味をいただきます。
皆さん、ピクニック気分で、鎌倉を楽しみましょう!

<問合・申込>・カジュ・アート・スペース
t/f 0467-23-3663 khaju@pastel.ocn.ne.jp

2007年8月12日

端材で木箱を作る

カテゴリー: 家仕事塾


今日も本当に暑い!

そんな中、
カジュアートスペースにて
第10回家仕事塾開催。

暑いからですかね。
参加者はSさん1名でしたが、
マキコさんと私とで、
和気藹々と。

今日は、
工事現場や
これまでの小屋作りで出た
端材を利用して、
工作するという企画でした。

Sさんは、
写真のとおり、CDラックを。

端材でも、
一日かけて、
十分立派に使えるものが、
できました。

こうして木の端材は、
どこまでも使えるのです。

もうそれ以上小さくならない、
というところまで来たら、
‘燃料’になりますしね。

こうしたものに光を当てる機会を、
これからも作っていきたいと思います。

2007年7月29日

土を知る〜荒壁土塗りと泥団子〜

カテゴリー: 家仕事塾


本日、
鎌倉カジュアートスペースにて、
第9回家仕事塾開催!

今日は、
左官屋の湯田さんを招いて荒壁土塗り。
そしてたくさんの方々に
参加いただけることになったため、
湯田さんにお願いして、
特別企画!
磨き仕上げの技術を応用した
「泥団子作り」を行い、
荒壁から仕上げまで、
一日、土を堪能しました。

真夏の蒸し暑い陽の下、
皆さま、
ご参加いただきましてありがとうございます!

まずは作業手順を、
湯田さんが作った見本を使って説明。
またこの見本が、よくできてるんだ。

竹小舞下地に、
手で泥を塗りつけます。
皆さん、童心に帰り、
黙々と作業しています。

今日は、
こんなにおおぜいの方々がご参加。
暑い日だったから、
ちょうどよかったです。

午前中には、
荒壁土塗りの作業は、
終わってしまいました。
すばらしい!

そして午後は、
光る!泥団子作り。

荒壁土で団子を作り、
そのうえに中塗り。
ここまで湯田さんが
仕込んできてくれて、
そのあと参加者は、
仕上げの工程。
赤青黄色のキメの細かい土を
慎重に塗り重ね、
磨きこんでいきます。
(私は写真のとおり、赤色を選択。
琉球の土だそうです。)

湯田さんの指導のもと、
まるで親鳥が
卵から雛を孵すように、
皆さん、丁寧に丁寧に作業。
その成果が表れ、
団子が光り始めると、
もうやみつき。
皆さん、終わることを知らず、
一心不乱に、
大事に大事に団子を育てていました。

ということで、
この小屋作りに関する家仕事塾は、
これにて完結!
およそ5ヵ月間という長丁場、
この場を提供してくださった
カジュアートスペースのマキコさん、
たいへんありがとうございました。
また延べ数十人となる参加者の方々、
文字通り皆さんの手で
ここまで作り上げることができました。
この体験を通じて、
将来の家仕事に対し、
少しでも糧にしていただければ幸いです。
また皆さんのおかげで、
私もこの5ヵ月を楽しむことができました。

しかし!

このたてものは、
8合目までは達しましたが、
完成までにあと2合、
登る必要があります。
引き続きこまごまと仕事がありますので、
その際はまたよろしくお願いいたします。

さて、
いつかこの催しを総括するか!

またどこかでこの企画、
やりたいなあ。

2007年6月25日

竹火舞

カテゴリー: 家仕事塾


カジュアートスペースで進めている家仕事塾は、
現在「竹小舞」まで進んでいます。

陽の光に照らされる竹小舞も美しいのですが、
せっかくしばらくこの状態なのだから、
灯にともされた竹小舞を見てみよう、ということで、
昨日の夜、
マキコさんにろうそくを並べていただきました。
カジュ版キャンドルナイトです。

言葉にならないほど美しい。

ろうそくの配列も、さすが、です。

あいにくの雨でしたが、
水に濡れた床が火を反射し、
かえって幻想的な雰囲気を
醸し出しています。

木(+竹)と火と土と金と水、
五行の素材が織り成す、
実に美しい世界。
※「金」はろうそく受

その世界は、
私たちの琴線に触れる、
何かがあります。

2007年6月3日

楽しき結が続く〜竹小舞再び〜

カテゴリー: 家仕事塾

カジュアートスペースにて、
第8回家仕事塾開催。

今日は先週に引き続き、竹小舞作業。

今日も楽しく、
手を動かし、口を動かし、
作業しました。

そしてお昼や休憩時間にも、
楽しいお話が繰り広げられた日でした。
(これも家仕事塾の醍醐味)

参加者の方が、
「竹小舞は、人を仲良しにする」
というようなことをおっしゃっていましたが、
そのとおりですね。

人を結ぶ、まさに「結」のしくみ。

・・・・・

さてせっかくなので、
写真付で竹小舞の作り方を解説。

まずは、
メダケを使って、
竹小舞の軸となる部分を作ります。
柱と桁に、メダケの径ほどの穴を掘って、
そこにメダケをたわませて、差し込みます。
そして縦の竹を、
貫に釘で打ち付けます。
これが「間渡し竹」ですね。

その間渡し竹に、
マダケを割ったものを、
棕櫚縄でタテ・ヨコに、
編んでいきます。

近くで見ると、
こんな感じ。

竹の密度が‘混んで’くると、
指がつらくなり、
棕櫚縄を通しにくいので、
内と外に人が立って、
棕櫚縄が行ったり来たり。
こうすると、楽ですね。

だんだんできてきました。

余談ですが、
普通の工事現場ですと、
竹小舞の施工写真を、
なかなかキレイに写すことができません。
その理由は二つ。
一つめは、
竹が編まれたら、
すぐ泥が塗られてしまうこと。
写真のために、工事現場は待ってくれません。
二つめは、
通常外側に足場が組まれているので、
どうしても背景が足場となります。

しかし今回は、
足場がない!
だから竹小舞越しに、
緑が美しく見えるのです。

しかも約2ヵ月、この状態!
暫く、この状態を堪能できるのです。

うれしいなー。

皆さんもせっかくのこの機会、
見に来ませんか?
竹の間をすり抜ける風が、
とても気持ちよいです。

竹小舞作業の間、
三週間前に仕込んだ泥を覗いてみましたが、
早速発酵して、
赤褐色が、緑色に変化していました。
ほのかに田んぼの香り。
私は好きですねえ、この香り。

2007年5月30日

畳床はオモい

カテゴリー: 家仕事塾


皆さん、
昔ながらに作られた畳を
持ち上げたこと、
ありますか?

思ったよりも、とても重いですよね。

畳は、
軽い軽い藁とイグサを折り重ねて
できているはずなのに。

しかしそのヒミツは、
畳を‘サバいて’みれば、
よく分かります。

先日の荒壁土作りの
ワークショップの際、
たくさんの藁が必要なので、
お古の畳をサバいて、
その藁を混ぜたのですが、

大判、小判がザックザク、
といった感じで、
まあ、次から次へと、
藁が出てくること出てくること。

しかし逆に、
あの2寸ばかりの厚さに、
よくあれだけたくさんの藁を
詰め込む技術があるものだと、
感心してしまいました。

一方で、今作られる畳は、
イグサでできた畳表をはがしてみると、
畳床がボードだったり、
あるいは発泡スチロールみたいのだったり、
工業製品のようになってしまって、
こうした藁でできた畳床は、
とても少なくなってしまいました。

確かにそうした畳は、
軽いし、虫は寄りづらいだろうし、
畳干ししなくてもいいだろうし、
また作るのが簡単だから安いだろうし、
現代の私たちにとって
いいと思われる面も多いのでしょうが、

しかし、
こうしてたくさんの藁と、
職人の技が詰まった畳床が
失われようとしていることは、
私たちとって何か大切なもの―
気持ちよさだったり、
あるいはこうして切り刻んだとしても、
命をつないでいけることだったり、
そうしたものを
投げ捨ててしまっているのではないかと、

畳床をザクザク切りながら、
そういう想いにかられるのでした。

2007年5月27日

「結」は楽し〜竹小舞〜

カテゴリー: 家仕事塾


カジュアートスペースにて、
第7回家仕事塾開催!

今回も多くの方に来ていただきました。
ありがとうございます。

さて、今日は竹小舞かき。

先日伐って割いたマダケとメダケを、
棕櫚縄で格子状に組んでいきます。

最初1時間ほどやり方を教えて、
あとは手を動かすのみ!

竹小舞を下地に壁を作るという技法は、
今ほとんど目にすることはなく、
失われつつある建築技術の一つ
という見方もあります。
確かに壁の種類によっていろいろ方法があるし、
奥の深い世界ではあるのですが、
しかし実際にやってみると、
意外(?)にけっこうできてしまうものなのです。

それもそのはず、
昔は家を作るとき、
周りの集落の人たちが集まって、
竹小舞をかいた、と聞きます。

「結」のしくみですね。

今日みたいにみんなでワイワイいいながら、
その家づくりを祝うとともに、
きっと作業を楽しんだことでしょう。

作業自体はどちらかというと地道な仕事ですが、
こうしてみんなでやると、楽しいですね。

そしてその結果組まれた竹小舞は、
感動的に美しい!

過程を楽しみ、
美しい成果を得ることのできる
竹小舞という仕事、
失われていくのはもったいない!ですね。

緑を背景にした竹小舞。
いつも言うことなのですが、
このままとっておきたいと思うほど、
美しいですね。

・・・

それではまた来週も竹小舞やります。
皆さん、来てくださいねー。

2007年5月13日

せいせいどうどう、泥んこ遊び!

カテゴリー: 家仕事塾

カジュアートスペースにて、
第6回家仕事塾開催!

今日は、壁に塗るための
荒壁土作り。

先日採ってきた粘土と短く切った藁に水を加え、
よーくかき混ぜて、できあがり。

みんな、泥んこになりながらの作業です。

今日の作業を知ってか、
今日はたくさんの子どもたちが参加!
10人くらいいたんじゃないかなあ。
参加してくれて、ありがとう!

子どもも大人も、
はだしになって、泥をこねこね。
泥は大人を童心に帰らせます。

それと、
はだしで泥を踏む感触が、
なんともいえず、気持ちいい。

作業後、足の裏は、
心なしかすべすべに。
やはり泥は美容の効果がある?

あららら。
おとうさんに藁のシャワー。

藁も子どもの遊び道具。

女の子たちが、
泥のプールの中で、
何やら遊んでいます。

今日は泥んこ遊びとは別に、
大工の藤間さんが、屋根の野地板貼り。

子どもたちは、
やっぱりこちらの大工仕事にも、興味津々。

ジャングルジムのようにして、
遊んでいます。

高いところではしゃぐ
たくさんの子どもたちをよそ目に、
藤間さんは黙々と野地板貼り。

しかし子ども好きの藤間さんとはいえ、
これだけ間近にたくさん子どもがいると、
気が気じゃなかったろうなあ(笑)。

しばらくこの小屋は、
床の上でもたたかいごっこが始まったり、
‘保育園’状態でした。

とくに、男の子たちは…、ね。
そのまま大工になる?

楽しい楽しい、おやつの時間です。
やっぱり小屋の中で、いただきます。

真ん中で誰か、
頭に紫色の花飾りが。
だあれだー?

・・・

それでは次回は、5月27日。
今度は竹小舞をかきます!

2007年5月10日

里山の恵みをいただきにいく

カテゴリー: 家仕事塾


家仕事塾で作っている小屋の
荒壁土となる材料の調達のため、
鎌倉の農家のKさんがお持ちの里山にうかがいました。

Kさんは、
初回の竹伐りのときにもお世話になった方で、
今建てている小屋は、
何から何までKさん様様です。

しかも、目的は粘土でしたが、
あたりにはたくさんの山菜と筍が。
この時期の里山の恵みを
たくさんいただくことができました。
ありがとうございます!

作業の方は、
約1立米の粘土を運び出す作業だったので、
なかなかの重労働。
足が腰が背中が、筋肉痛です。

しかし五月の爽やかな風が吹く中、
心地よい汗をかきました。

また天気の方は、
天気予報によると午後雨が危ぶまれましたが、
そこは晴女のマキコさんと晴男の私。
里山のほうで作業が終わったとたん雨が降り、
カジュに運び込む時に晴れ間が見えて、
そこで運び終わったとたん、
ザーッと雨が降ってきました。
さすが、です。