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2005年12月3日

光と影

カテゴリー: 目黒か邸


日本の空間の特徴というべきか。
光と影の世界。

伝統的な木組みの特徴は、家の中にいろいろな影ができる。
それは、
渡りあごであったり、
チリ(土壁に対して柱が少し出ている、あの部分)であったり、
格子を透過する光と影だったり、
紙から漏れる柔らかい光だったり。

太陽光線や照明といった光の当たり方で、いろいろな表情を楽しむことができる。
一つの壁面、空間でも、味わい方は様々なのだ。
照明計画は、むしろ簡素に計画することが多いのだけど、よくハッとさせられるような空間に出会うことがある。

空間があまりはっきりと区切られないのも、その理由かもしれない。

‘たてものや’の性分

カテゴリー: 目黒か邸


廻り階段の部分。

ピシッと納まっていて気持ちいい。
‘たてものや’のせいか、こういう部分をついホレボレしながらしばし眺めてしまう。

クスノキの階段

カテゴリー: 目黒か邸


K邸に着いて玄関の扉を開けると、清涼な香りがする。
クスノキの香りだ。
クスノキは樟脳の材料。
樟脳は防虫効果がある。
ちょうど階段下が収納になっているので、自然の防虫剤。

香りに比べ、クスノキの表情は意外にもおとなしい。

2005年11月27日

人様の頭の上にのせるものだから

カテゴリー: 目黒か邸


群馬藤岡の五十嵐さん。
達磨釜で瓦を焼いている人です。
今朝、K邸の外構工事用に、欠けなどが入って屋根には使えない瓦をたくさん持ってきてくれました。藤岡から朝の7時に。
そしてまた仕事があるから、と言って藤岡にとんぼ返りしました。

「瓦は人様の頭の上にのせるものだから、心を込めて」が信念の五十嵐さん。
初めてお会いしたとき、この信念に心打たれました。
まさにその言葉を地でいっている方です。
五十嵐さんが焼いた瓦をあちこちで使わせていただいて、ありがたい気持ちでいっぱいです。
今回は地べたで使わせてもらいますが、これからもよろしくお願いいたします。

外構も楽しみ。

2005年11月22日

だんだんと見えてきた

カテゴリー: 目黒か邸


大工工事も9割8分がた終わり、養生を徐々に撤去。
床板が見えると、一気に‘工事現場’から‘家’になる。

床が露になって、改めてサワラの床板はほんのりとあたたかいことに気づく。
足の裏がじんわりと来る。

銀杏の美しい季節

カテゴリー: 目黒か邸


秋が深まり、木々の葉も美しく彩られる頃。
厨房に銀杏の天板が取り付けられる。

巾1m46cm、奥行70cm、厚さ6cmの銀杏の板の表情は白くてとてもおとなしい。
例えるならば、学校の教室の窓際で静かに微笑んでいる、だけどなぜか存在感のある色白の女の子のようだ。
なまめかしい土佐漆喰磨きの壁によく合う。

銀杏はまな板にも使われる木なので、この厨房は全面まな板ですな。

2005年11月19日

なまめかしい壁

カテゴリー: 目黒か邸


土佐漆喰磨き。
その表情は、肌理の細かい女性の柔肌のようで、とてもなまめかしい。

この壁は、何回も何回も撫でて作り上げる。
愛しい女性を撫でるように。
なまめかしいのは納得。

その結果、水に強い壁に。
雑巾がけにもある程度耐える壁。
厨房の腰壁に採用。

2005年11月17日

凛として温かい

カテゴリー: 目黒か邸


柿渋を塗った結果の表情。

襟を正したような木組みも相俟って凛とした雰囲気を醸し出す一方で、赤褐色の温かさを帯びている。
年輪がまた美しく映える。

柿渋塗りは難しいというけれど、視覚以外にも防腐性、防カビ性、防水性の向上などの機能面でも期待できるので、これからも積極的に提案していきたい仕上である。

例えば、天然乾燥材にはたまに乾燥が不十分で刻んでいるときに少しカビが出るものがあるが、柿渋を塗ると、あら不思議、経験上ほとんど消えてなくなることが多い。

連鎖反応

カテゴリー: 目黒か邸


南側バルコニーの笠木。
この部分は板金で隠れてしまうところ。
しかし大工の藤間さん、ここにも実を加工している。
隠れてしまうところでも手を抜かない姿勢。
こうした姿勢が他の職人たちに次々と伝わり、職人魂を刺激する。
その結果、皆が丁寧な仕事をしていくのだ。

姿勢は連鎖反応する。

晩秋を演出

カテゴリー: 目黒か邸


柿渋色の杉の木と土佐漆喰の黄色と麦穂。
込栓に麦穂をかけて、深まる秋を演出。

現場ももう大詰めです。