建築設計を仕事としていると、仕事場は建材のカタログに押しつぶされそうになります。
一社のカタログだけで、横幅一尺以上とる、なんてこともあります。
設計の理念上、内装仕上にクロスや化粧合板等の既製の建材は基本的に使わないので、私の手元にあるカタログは比較的少ないほうかと思いますが、それでも延べの横幅は両手を広げたくらいまでに達します。

  さて、BLOOM柳楽さん。
ピスカリアの玄関扉と庇と看板を作っていただいた鍛冶屋です。

柳楽さんとの対話によるものづくりを通じ、金物にも無限の自由な世界があるのだ、ということを改めて感じました。

http://www13.ocn.ne.jp/~bloom-jp/




吉田電設さんは、大船にある電気工事屋です。

伝統的な木造建築構法の中で、実は電気工事は重要な位置づけとなります。といいますのも、電気配線を通すところを事前によくよく考えておかないと、意匠上配線がむき出しになりかねないからです(これをヨシとするのも一つの考え方ですが)。

 
 
伝統的な木造建築構法の建物の場合、基本的には木の構造体を包み隠しません。
本来だったら配線を通したい壁のフトコロも極めて少なく、さらには天井も貼らないことが多いので、配線の仕方にはとても気を使います。ま、昔は電気なんてなかったですからね。
昔の家は電気配線しやすいようにできてません。
だから昔の家が今に残っている場合は、だいだいが電気配線がむき出しです。

さて今回紹介する、吉田電設の古知屋さんとは、私の家を施工していただいて以来の付き合いです。その後も幾つか伝統的な木造建築構法の建物の電気工事を手がけていただいておりますので、配線の要領という点では安心して電気工事をお願いすることができます。

しかも、古知屋さんは、工事の進み具合を読んでマメに現場に足を運んでくださり、ときには木材の搬入を手伝っていただいたり、その仕事の姿勢には本当に助かっています。





吉岡木材さんは、神奈川県厚木市にある材木屋です。
神奈川県産材を主に取り扱っています。
また材木の乾燥も、お日様が頼りという昔ながらの素朴な乾燥方法です。
もちろん、クスリユなどは一切使わず、すくすくと木を商っています。

こうして、近くの山で採れた天然乾燥の木材を商う材木屋は、二昔くらいならばごく当たり前に存在していたのでしょうが、今ではたいへん珍しい存在となってしまいました。

そのような人と聞くと、頑固親父的な雰囲気を想像しますが、実際足を運んでみると分かりますけれども、一家で力を合わせて、楽しそうに仕事をしています。
日本の森林の事情は実はたいへんな状況なのですが、悲壮感を感じさせることもなく、とても明るい雰囲気です。

それと、やっぱり近いというのが何よりです。
やはり近ければ近いほど、家を建てようとしている人たちや私たちのような設計者とも密接な関係を築きやすいですし、また近ければ「明日お願い」とか、無理も言いやすいですしね(笑)。

お互い、これから、という年代なので、この先さらにお互い技術と品質に磨きをかけていき、神奈川の「木」と「家」をもっともっと、面白いものにしていきたいと思っています。





きらくなたてものやが基本的に基礎工事をお願いしている方です。

きらくなたてものやでは、伝統構法の荷重が相対的に重いということもありますが、設計において基礎の仕様というものを重要視しています。
木造の場合、軸組がしっかりとしている限り、本体部分は将来の家族構成や生活様式の変化に応じて将来手を加えていくことができますが、基礎はそうはいきません。不可変なものとして、永久を願います。
だからしっかりと作るのです。


さて山田さんについてですが、以前大工の藤間さんが関わっている工事現場で山田さんが作った基礎を見て、直感的に「この人にお願いしよう」と思いました。
それくらいきりりとした、それでいて肌の美しい基礎を打っていました。
その後piscariaの基礎を作っていただきましたが、その直感には間違いがありませんでした。
現場での当方の指示やお願いも、こちらの意を十分に汲んで、迅速に対応してくださいます。

ところで山田さんは、土建業とともに、横須賀の自宅近くで本格的に畑仕事をしています。
その畑で採れる白菜やキャベツなどをいただくことがあるのですが、それが美味しいのです。

美しい基礎と美味しいキャベツ、実は相関関係があるのではないかと思う今日この頃です。





伝統構法に取り組む、若き大工集団です。
私の家を手がけていただき、それ以来の付き合いです。
年齢が近いこともあり、まためざす方向がほぼ同じなので、意気投合しながら仕事をともに進めています。
風貌はスマートで、とても大工には見えませんが、腕はとてもよく、他の職人さんたちや設計士からも、高く評価されています。
一度その仕事ぶりをぜひご覧ください。

職人が作る木の家
http://kino-ie.net/member/index.php?e=579


写真左より、古口さん、藤間さん、石山さん