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2016年11月23日

誰も湯に入らない「湯」の集い

カテゴリー: 今日のできごと

今日は久しぶりに、
「湯」の集い。

何人いたか分かりませんが、

鎌倉できらくなたてものやが手掛けた仕事の
住人たちを中心とした人たちと

きらくなたてものやの
仲間の職人たちが

四年以上前に改修した
鎌倉の古民家に集合して、

おいしい楽しい時間を
過ごしました。

最初は泊まり込みで
ここから近い「食堂ぺいす」を作る職人たちのために
「お風呂入っていきなよ」と始まった「湯」ですが、

それから数年後には
まるでずっと旅していたきょうだいたちが
久しぶりに一つ屋根の下に集まるような
大家族のような楽しい場になり、

今となっては
酒と話が楽しくて、
誰も風呂に入ろうとしない
「湯屋」でございます(笑)。

いずれにしても
形のあるものづくりは
それそのものが
楽しいだけではなく、

その物語を共有することによって
人と人とをつなげてくれる力を
持っているということ、

そしてそこから楽しみ合い、
助け合う関係が生まれるということを
改めて思いました。

間もなくこの「湯」に
家族が一人増えるため、

次に大々的な「湯」を開くのは
しばらく先になりそうですが、

また別の場で「湯」が
開かれるのではないかと思います。

最近人を引き寄せる
「木のお風呂」率が高いですし(笑)、
「湯」の場の拡散も楽しみです。

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2016年11月21日

今日はきらくなおそうじ隊

カテゴリー: 今日のできごと

今日は一日、
改修現場で「きらくなおそうじ隊」。

午前中は一人で
養生を剥がし、
念入りに掃除をした後に
蜜蝋ワックス塗り、

午後は大工の北山さんが合流して
家財道具の移動を行いました。

こうして工事がほぼ終わり、
最後ゲンバからイエにする作業は、

基本的に私か所員が
行います。

今日も養生を剥がしていたら、
「そんなことまであなたがするのね」
的なお言葉をかけていただき、

またそのお言葉は、
今日に始まったことではないのですが、

私からすれば、
このゲンバからイエになる
劇的な瞬間を
見ることができる楽しい仕事を
他の人に委ねるなんて
もったいない、と思います。

それもありますが、
管理する立場として
隈なく最終点検を行える
という側面もありますからね。

ということで
これを書いている今は、
心地よい疲れ、

いつにもまして
ぐっすり眠れそうです(笑)。

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2016年11月18日

銅の流しと真鍮水栓

カテゴリー: 神田え邸

神田え邸にて。

洗面所は、
桧の天板の上に

銅の流しと
真鍮の水栓。

きょうだいのような関係の
金属が共存しています。

ところで最近
流しと水栓の関係について
水道屋といろいろ考えるのですが、

水栓の操作は、
流しの器の中で、

もしくは
流しの器の真上で行えるほうがよい
という結論に達しています。

と申しますのも、
手や顔を洗ったあと、
水栓を閉める前に
手をタオルで拭く人はまれで、

たいていの場合
濡れた手で操作しようとします。

すると水栓の操作部の真下に
水滴が飛び散るわけですが、

その水滴を
流しが受け止める位置関係にあれば、

天板はあまり
濡れずに済みます。

木で天板を作る場合、
濡れてもかまわないように
桧など水に強い木を選びますが、

それでもあまり
濡れないにこしたことは
ありませんからね。

なので、
流しの器の中に
水栓を設置できない場合、

水栓の形状は、
壁出しの胴長のものが
今私の中で理想です。

しかも今は
給湯器が適温のお湯を
作ってくれるので、
単水栓で十分です。

壁出しの単水栓は、
安価な傾向にあるというのも
うれしいですね(笑)。

そんなことを
考えたうえでの
この組み合わせです。

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2016年11月17日

スギとカワラの小さな厨房

カテゴリー: 神田え邸

神田え邸にて。

杉の箱に
壁を瓦で仕上げた
小さな厨房が
できあがりました。

ここにこもって
一枚一枚表情の違う
瓦と対話しながら
ジャム作りたいです(笑)。

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2016年11月16日

「見せる」電線

カテゴリー: 神田え邸

神田え邸にて。

土間の照明器具は、
元々あった器具のデザインに近い
黒いマリンランプにしました。

そして器具への配線は、

元々Fケーブルが際を這い、
化粧モールをかぶせていたのですが、

改修を機に、
碍子引きにしました。

天井裏がなく、
かといって木を掘り込むわけにもいかず、

どうせ配線が見えるのだったら、
目立たないようにする、というよりも、
かえって配線を「見せる」
この碍子引きが好きです。

まだ電気などなかった時代に
建てられたたてものは、

その後目の前に電気がやってきて
後から電気を配線しなければならないという時に、
この碍子がよく使われていましたが、

今はほとんど
見かけなくなりました。

現代では、
電気配線の量と種類が
昔と比べて格段に増えたため、
碍子引きが難しくなった
という事情もあります。

しかし新築の場合でさえも、
電気配線が複雑でなければ、
(実は今ここが難しい)

デザインとして積極的に
取り入れたいとすら
思っています。

「隠れる」よりも、
「見える」ほうが
なんとなく安心感がありますしね。

ちなみに照明器具の台座は、
大工が用意したクリの板です。

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2016年11月10日

‘ムスコ’が一日弟子入り

カテゴリー: 今日のできごと

年に一度、
地元の中学校の生徒を
職場体験の場として
受け入れているのですが、

今年も二名の中学二年生の子が
うちに来てくれました。

そのうちの一人は、
産まれた時からよく知っていて、
家もよく行ったり来たりしている、
自分のムスコみたいな子でした。

学校で会って、
先生の前で事前説明をした際は、
しおらしく敬語で話してきて、
なんだか調子悪いな(笑)、
と思っていたのですが、

今日は普段の様子でした。

しかし身近な子が
こうして社会との接点を
作り始めるとは、

実に感慨深いものがあります。

どっぷり地域で活動していると、
こういう喜びがあります。

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2016年11月1日

薄雲のかかった満月のような

カテゴリー: 神田え邸

神田え邸にて。

厨房の壁に貼るための
敷瓦の中に、

薄雲のかかった
満月の月のような、

美しい円の模様のものが
混ざっていました。

達磨窯で瓦を焼くと、
窯の中での火の当たり具合で

様々な偶然の模様が
出てくるわけですが、

これは偶然にしては
あまりにも美しい円なので、

壁に貼らずに
とっておくことにしました。

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2016年10月31日

究極の飾りもの

カテゴリー: 神田え邸

神田え邸にて。

今日は現場で
ちょっとした会合がありまして、

床の養生を剝がしたばかりの奥座敷で、
大勢で座卓を囲みました。

遠目にその様子を見たのですが、
なんだか昭和に戻ったような
懐かしい雰囲気を感じました。

さてその座敷には
床の間があり、

今日の会合のために
しつらえられていました。

そして床の間の真ん中に
鎮座していたのは、

解体途中に出てきた、
空襲で焼けた
黒焦げの柱でした。

空襲で焼けても、
当時の人たちがまだ使えると思って
改修して使い続けてきたわけですが、

まさかこういうかたちで
日の目を見ることになるとは、
当時の人たちも
予想ができなかったことでしょう。

それにしても、
この家の歴史を物語り、

そして引き続き

古くなっても
この家の歴史を
新たに作っていこうという
強い意思を

訪問者へ端的に伝える象徴として
究極の飾りものでした。

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2016年10月29日

みんなで板を塗る

カテゴリー: 柳澤たてもの塾

今年一年かけて、
月に一度の頻度で進めてきた
柳澤たてもの塾ですが、

早いものでいよいよ
今日が最終回。

普通の家づくりの速度から考えたら
十分ゆっくりなのですが、

なぜかあっという間に
感じてしまいます。

さて今日の仕事は、

外壁に使う板に
カキシブコートを塗る作業。

そして、
そろそろ母屋を使い始めるにあたり、
埃まみれだった室内を掃除。

これまでに比べたら
地味な作業でしたが、

それらを通じて
愛を注ぐことに
変わりはありません。

参加者の皆さんは、
楽しそうに晴れやかな顔で
手を動かしてくれました。

あとは職人たちが
水廻り棟の完成に向けて
作業を進めてくれます。

皆さんが次ここへ来る時は、
木のお風呂に入れますので(笑)、
楽しみにいらしてください。

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今日のお昼ごはん。

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2週間前にみんなで塗った土が
いい感じで乾いてきました。

2016年10月28日

美しい理由

カテゴリー: 神田え邸

神田え邸にて。

現在23時過ぎ。

この時間でも、
トーキョーのど真ん中で

タイル屋の小澤さんが
まだ敷瓦貼りを
がんばっています。

自分が把握するかぎり、
晩ごはんも食べていません。

たぶんお昼ごはんも
まともに食べていません。

モーレツサラリーマンも
顔負けの仕事ぶり。

物静かに見える小澤さんですが、
かつては高校野球超名門高校のエース、

内に秘めた闘志を
垣間見たような気がします。

さて、先ほどから
ずーーと目地を撫でていますが、

目地が乾くまで
目地を整えています。

なかなか目地が乾かないので、
途切れずやり続けるしか
ないようようです。

はた目に見た感じでは、
もうそれでいいんじゃないと
思ってしまうのですが、

しかし小澤さんは、
納得のいくまで
手を動かし続けます。

だからですね。

1枚1枚表情もかたちも違う、
達磨窯で焼いた敷瓦が

面になると、
はっとするほど
美しく見えるのは。

瓦の背景にある物語、
またその美しい物語から
紡ぎ出される瓦そのものの
美しさだけではなく、

それを貼る人の手も、
十分に影響しているのだと
思います。

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