ブログ
2012年10月11日

決意の栗おこわ

カテゴリー: 家づくりの理念

2年前に完成した某邸で
不具合があるという
連絡をいただいたので、

一昨日、大工、左官屋と
お住まいに伺いました。

不具合で参ったというのに、
早速、栗おこわ、モナカ、
自家製栗の甘露煮、
漬物、みかん等々、
実に豪勢なおもてなしとともに、

相変わらず八十半ばとは到底思えない、
機知に富んだ溢れ出る会話。

お聞きしていると、
その不具合以外は、
たいへん心地よく
暮らしているとのこと。

もっと突っ込んで
夏と冬の住み心地を
聞いてみましたが、

夏はエアコンに頼らなくても涼しく、

冬は朝夕の床暖房と、
たまにエアコンを使うだけで
温かく過ごされているようです。

この家も、木組みと瓦と土壁の家。

いわゆる「断熱材」を使っておらず、
理論上の外皮性能は決してよくありません。

一方で建主さんは
普段から歯に衣着せぬ物言いで、
決してお世辞を言わない方なので、
おそらく正直な感想なのだと思います。

私が作りたいのは美しい「未来」。
「伝統」に学びつつも
決して「伝統」に
固執しているわけでは
ないのですが、

身近に採れる木と土により
「足るを知る」室内環境が得られるならば
それでいい、

いやそれがいいと
考えています。

またそのほうが、
365日24時間ずっと快適と言われる
温熱環境下で暮らすよりも、

むしろ身体への負荷が小さく、
長い目で見れば
その素材感と相俟って
心地よいと考えています。

しかしこうした家は、
確かに日本広しといえど
0.001%程度の割合しかありませんが、
しばらくすると「省エネ化」の大号令の下、
このままでは法律上作ることが
難しくなります。

方向性の理念は理解できますが、

この方だけではなく
多くの建主さんから、
住んでみて同様の感想を
いただいているというのに、

何も作れなくすることはねえだろ、
と思うわけです。

現在それを打開すべく
諸関係者と議論を進めているところですが、

0.001%とはいえ、
やはり私は最後まで抵抗しようと、

久しぶりに私たちと再会して
うれしそうな建主さんの顔を見て、
さらにその思いを強くしました。

2012年10月10日

格子床現る

カテゴリー: 町田か邸

町田か邸にて。

今日の午後現場に行くと、
早くも2階の床板貼りが
終わっていました。

そして南側の
格子床も!

大工の古口くん、
所帯を持って
仕事が実に順調です。

ところでこの格子床は、
室内環境の調整のため、
また光の入り方が楽しいので、
最近よく取り入れる意匠です。

瓦葺最終日

カテゴリー: 町田か邸

先週到着した
達磨窯で焼いた燻し瓦は、
金子さんの手で
ほぼ葺き終わり、
今日が作業最終日。

外で仕事するには
とても気持ちがいい日和なので、

気のせいかいつもよりも、
作業の速度が
速かったような気がします。

金子さんと現場で会うのは、
ここのところいつも
灼熱の真夏か、
厳寒の真冬でしたからね。

2012年10月9日

カキシブ隊の子どもたち

カテゴリー: 横浜港南あ邸

昨日のカキシブ隊は、
子どもたちにずいぶん
楽しませていただきました。

その様子を
紹介したいと覆います。

カキシブ隊の子どもたち、その1。
この梁は、
自分の部屋の真上に見えるんだよ、
と言ったら、

真剣な目つきで刷毛を握る
6歳の「だ」くん。

将来部屋で寝転んで
天井を見上げるたび、

この日のことを
思い出してくれれば。

カキシブ隊の子どもたち、その2。

今回は町田で同時進行中の
「か」さんの家の「そ」ちゃん、

大工の藤間さんに
木っ端ツミキを用意してもらって、
何やら立派な作品を。

作品の回りをご満悦そうに
ぐるぐる走り回っていました。

カキシブ隊の子どもたち、その3。

二人の子どもたちは、
そのうちカンナくずで遊び始めました。

それをあたたかく見守る
大工の藤間さん。

カキシブ隊の子どもたち、その4。

「そ」ちゃんの作った
木っ端ツミキの作品が、
私たちの作業を見守っています。

2012年10月8日

秋空の下カキシブ隊

カテゴリー: 横浜港南あ邸


三連休の最終日は、
厚木でカキシブ隊。

私自身のことを言えば、
三連休初日は泥コネ、
二日目はラグビーのコーチ業、
そして最終日はカキシブ隊。

まさにスポーツの秋。

確かに汗を流すには
たいへん心地よい三日間でした。

さて今日の参加者は、
建主さんとムスコの「だ」くん。

そして現在進行中の町田か邸の
「か」さん一家が、
しかもご両親やイトコも連れて
おおぜいで来てくださいました。

もう本当に
ありがたいことです。

しかも現在進行中の建主同士が
交流できることって、
何だか楽しいですよね。

そんなわけで
今日もおおぜいいたので、
小屋梁、母屋、棟木を
ほぼ全て塗ることができました。

ところでこの時期は、
本当に夕暮れが早くなりました。

夏の感覚でいると、
あっという間に
暗くなってしまいます。

秋、だなあ。

2012年10月6日

熊谷で再び泥コネ

カテゴリー: 今日のできごと

風と汗が心地よい
秋真っ只中の三連休の初日は、
熊谷で泥コネ。

お盆前に一度
実施しましたが、

何しろこの家は
壁の量が多く、

またその時は
おやつの時間に
雷が鳴り響き始めたので
作業を切り上げたのでした。

今回はとくに
ワークショップとして
参加者を募らなかった代わり、
文明の利器を導入!

建主さんの友だちで、
今回水道屋としても
この家づくりに関わる予定のIさんが
ユンボを持って
現場に駆けつけてくれました。

いやあやっぱりさすが、
百人力、といった感じです。

運ぶ作業が
一気に楽になったので、

改めて泥の箱を
作り直すという作業も、

人力だったら
途方に暮れてしまうところ、

それを含めて
作業を完了させることが
できました。

しかしそうはいっても
相手は非常に粘り気が強く、
ヌルヌルと滑る粘土。

ユンボとはいえ、
相当苦労していました。

また人間のほうも
作業後設計の打ち合わせを
予定していましたが、

なんだかんだと
一日泥と戯れていたので、
とてもとても、
そんな元気は残っておらず、

夕暮れの下
みんな輪になって
打ち合わせのような
雑談のような
そんな感じで
会話を楽しんだあと、

私は近所の風呂屋に駆けこんで、
鎌倉への帰路につきました。

最後に二点、
建主さんがお昼に
カレーと梨を
用意してくださり、

秋の空の下で
いただきました。

こういう時のカレーは、
最高にうまい!

もう一点、
今日も近くで暮らす
私の妹家族が
午前中だけですが、
来てくれました。

楽しんでくれたようで
何よりです。

2012年10月4日

クリとサワラとイニシエの箱

カテゴリー: 今日のできごと

二宮し邸にて。

右手に見えるは、
クリの箱の流し台。

左手に見えるは、
サワラの箱の作業台。

正面奥に見えるは、
建主さんが持ち込んだ
古い家具。

骨董屋さんで、
手に入れたのでしょうか。

しっかりした作りの
かわいらしい家具です。

この家の厨房は、
三方それぞれの顔の
箱に囲まれて、

台所仕事が
楽しそうです。

撮影:畑拓

草原の上に立つ黒壁

カテゴリー: 二宮し邸

二宮し邸にて。

草原の上に立つ、
黒壁の家。

スギ板にこの黒色を
色付けする仕事も、
建主さんの手によるものです。

また焼杉にしても、
柿渋コートにしても、
自然な風合いの黒色は

緑が映えるので、
好きです。

気がつけばきらくなたてものやは、
最近外壁をこの仕上げとすることが
多いですね。

今後の外構工事により、
更に緑が深まる様子が
楽しみです。

撮影:畑拓

思い出す場所

カテゴリー: 二宮し邸

二宮し邸にて。

便所の壁は、
荒壁土塗りで
囲われています。

壁の様子をよく見てみると、
竹小舞の縦竹のリズムが
浮き出て見えます。

竹小舞は全て
塗り込めてしまいましたが、

用を足しながら、
みんなで手を動かした
あの日のことを
思い出すことが
できそうです。

撮影:畑拓

白壁から伝わること

カテゴリー: 二宮し邸

二宮し邸にて。

階段廻りは、漆喰塗り。

以前も紹介したとおり、
この家の漆喰部分は
全て建主さんが
下地をこしらえ、
塗ったものです。

遠くから眺めても、
近くで観察しても、

ていねいにていねいに、
仕事を重ねた様子が
伝わります。

決しておカネはかけずとも、
ていねいに手をかけた家。

きっとこの家は、
長生きだ。

撮影:畑拓