荒壁土塗り始まる
楽しい竹小舞かきが終わり、
荒壁土塗りが始まりました。
壁が塗られると
何となく空間が見えてきます。
しかし、
竹小舞の状態が好きな私は、
何となく寂しい気持ちにもなります。
現場に入ってみると、
八十を超える建主さんも
鏝を手にしていました。
この仕事は、案外力を使うのに、
左官屋さん顔負けなほど
上手に塗り進めていました。
相変わらず、
元気、元気です。
先日になりますが、
和室の地窓に、
和紙を太鼓貼りした襖を
取り付けました。
当初の目的は西日を遮り、
畳を保護するためだったのですが、
しかし、
完全に光をふさいでは
面白くないので、
仄かに光を通す仕掛けとして、
通常の襖紙ではなく、
生成り色の和紙を
両面に一枚ずつ
太鼓貼りした襖としました。
そういう意味では、
障子の部類に入るかもしれません。
この襖を入れたおかげで、
光がとても柔らかく
入ってくるだけではなく、
昼間は骨が透けて見え、
暗くなると紙だけが見え、
また朝夕の光の加減で
骨の透け方が異なり、
時間とともに表情が異なるのも
楽しみの一つとなりました。
時間とともに異なる、といえば、
この家の一角に
立派な酔芙蓉があります。
この花も、
朝と夕とで
色が変化します。
こういう要素が
家の中にあると、
「家巡り」が
楽しくなりますね。
横浜こ邸にて、
竹小舞道場、2回目。
今日は建主さんたちのほか、
遠方から‘た’さん、
将来の建主さんである
‘し’さん、‘は’さんが
いらしてくださいました。
今日は大勢だったので、
とても捗りました。
こうした地道な仕事は、
やはり大勢のほうが
心強いし、楽しいですね。
皆さん、
楽しいからなのか、
今日の作業は、
終わる時間を
忘れてしまいそうなほど
没頭しながら
作業してくださいました。
ありがとうございます!
そんな楽しい楽しい竹小舞も、
あと少し、1週間くらいかなー。
来週あたりから、
荒壁土塗りが始まりそうです。
その前に、
竹小舞の様子を
とくと目に
焼き付けるとします。
鎌倉た邸の建前のとき、
玄関入口の天井に並ぶ
ヒマラヤスギのことを
不思議な木だなあ、
と眺めていました。
ヒマラヤスギは、
大木になる木だけに
成長が早く、
年輪の目も、
どちらかというと
太く感じます。
しかもこの木は、
「スギ」と名が付くだけあって
柔らかいのではないかという
先入観があるのですが、
実際叩いている様子を
見てみると、
なかなかどうして、
仕口がカタくて
叩いても叩いても、
なかなか下りてきません。
広葉樹のクリの梁よりも、
入りづらそうでした。
確かに触ってみると、
めりこみづらそうな
硬い感じがします。
見た目といい、
硬さといい、
「スギ」というよりも
上品なマツといった感じですね。
そしてこの木は、
何ともいえない、
甘くて清涼な芳香を
辺りに漂わせます。
この香りを
家に帰って来るたび
楽しむことができるよう
玄関の天井に、
計6本、配してみました。
なお、
この木の兄弟ともいえる
レバノンスギは、
ノアの箱舟に使われた木で、
ピスカリアの階段板で
出会うことができます。
やはり同じような
香りがします。