今年はさぶいな〜その2
今年初めて葉山のI邸に行く。
今日は何時にもまして寒い。
あの暖かい葉山で、外でバケツにためていた水が凍っていた。
鳶の山田さんが、玄関の階段に着手。
コンクリートで荒打ちして、左官で仕上げる予定。
ちょうど年末なので、コンクリートの養生期間を確保できる。
これで今年の現場仕事はおしまい。
来年はいよいよオープン。実に楽しみだ。
しかし一方、大工の後藤さんとも話をしていたのだが、現場作業が終わってしまう、ということがとてもさみしいし、「明日ここでやることがない」という事態が考えられないのが正直なところだ。
といっても、ここがIさんの仕事場にもなるので、Iさんの生活がかかっている。
できるだけ早く終わらせなければならないのも事実だ。
この充実感を感じ続けるために、K邸での職人集団と同様、こうした伝統的構法による仕事を、来年以降もまた同じ仲間でし続けていきたいものだ。
玄関前に深岩石を敷き並べ、基礎のとのすき間に砕き瓦を詰める。
砕き瓦は、Kさんがコツコツと地道に砕いた瓦。
その瓦は、たびたびこのブログで紹介している、藤岡の五十嵐さんのいぶし瓦。
割れやヒビが入ってしまって屋根には載せられない瓦だ。
瓦は、屋根に載せる以外に、ほんとうにいろいろと使い道がある。
敷き瓦を土間や庭に使ったり、海鼠壁にしたり。
桟瓦も、庭の地べたに縦に埋めたら美しい。
また、こうして砕いて小石のように使うこともできる。
砕き方によっても、様々な表現が可能である。
粗く砕いたら、荒々しい感じ。
細かく砕いたら、繊細な感じ。
五十嵐さんの瓦は、水はけがいいので、機能的にも○。
工事があらかた完了し、Kさん明日引越し。
夕方家の状態を確認し、鍵をKさんに引き渡した。
最後の家の状態の確認のとき、必要以上に家の中を徘徊する。
(Kさんすみません、そんな理由で待たせてしまって)
考えてみたら、自由に徘徊するのもこれが最後だ。
まだ少し工事が残っているし、それ以外にもうかがう機会を全く失ったわけではないけれど、とても寂しい気がした。
鍵を渡すとき、生まれてこの方いろいろあったけど、大事に大事に育てた娘をヨメにやるような、そんなキモチであった。
鍵を渡すとき、何か気の利いたことを言おうと思ったけど、いざその場になるとなかなか表現できないものだ。
Kさん、そんなわけで、‘ヨメ’をこれからもよろしくお願いいたします。
そしてそのあと夜11時前、葉山でIさんとおちあう。
Iさんが後日入籍する(おめでとう!!)ために、「証人」として書類に名前を書いてハンコを押した。
今日はそういう巡り合わせの日だ。