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2011年9月7日

框だけタモ

カテゴリー: 改修の仕事

改修工事の現場にて。

従来この家は、
玄関と居間が仕切られていない
一体の空間でした。

それはそれで
いい空間だったのですが、
玄関は吹き抜けているし、
やはり冬は都合が悪かろう、
ということで、
建具を仕込むことにしました。

入口は引き込みの
大きな硝子戸を入れ、

また欄間部分には
横長の回転硝子窓を取り付け、
全面的に通風を
確保できるようにしました。

ところで
引き込みの大きな硝子戸について、
下桟、上桟、中よりの縦框はスギですが、
戸当たり側の縦框のほうは
堅いタモを使い、

さらに幅約15㎜の溝を
上から下までしゃくって、

大人も子どもも、
建具が引きやすいように
なっています。

人の手によく触れるところなので、
堅木を使ったということもありますが、

これにはもう一つ
物語がありまして、

実は当初、
四周全てスギ材の建具を
予定していたのですが、
採寸の手違いで、
横幅に約24㎜短いものが
納品されました。

全て作り直せば
訳がなかったのですが、

一方で間に嵌め込む
高価な曇りの強化ガラスが
もうすでに
できあがっていました。

ガラスを足すわけにもいかず、
かといって
ガラスを無駄に
したくはなかったので、
戸当たり側の縦框を
24㎜太くすることにしました。

しかしそこだけ太くすることに
デザイン上違和感があったので、
まずは材をガラリと
代えてしまおうか、
という話になり、

さらに先ほどの
引手代わりのしゃくりを入れれば、
使い勝手がいいし、
さらに軽く見える、
ということで、

このような形に
なったわけです。

最初は寸法違いから
始まったことですが、

現場で職人と話し合うことにより、
かえって面白い感じになりました。

災い転じて―、ですね。

ところでタモという木、
今国産で手に入れるのは
なかなか難しくなってしまいましたが、
個人的に、
その名にたいへん
親近感を覚える木です(笑)

2011年9月6日

東側のかお@横浜こ邸

カテゴリー: 横浜栄こ邸

横浜こ邸にて。

家の東側が
開けているので、

2階の東側に
光と風が入る
大きな窓があります。

陽射しがまぶしい時は、
右側に待機している
障子を閉めることができます。

一方、
外から引いて
この家を眺めると、
この硝子越しに、
梁組みが美しく見えます。

2011年9月5日

貫伏・斑直し@葉山と邸110905

カテゴリー: 葉山と邸

先週から左官屋が現場に乗り込み、
貫伏・斑直しを進めています。

蒸し暑い日々が続いていますが、
葉山の風は湿り気を
吹き飛ばしてくれる感じがして、
涼しいですね。

土壁に囲まれていると、
なおそれを感じます。

原発を巡る世の不思議

カテゴリー: 今日のできごと

つい先日、
試算の結果、
原発の発電コストが
今回の事故の賠償金額を含めても、
火力発電等よりも少ないという
ニュースを目にしました。

こうした試算は
社会を設計するうえで
必要でしょう。

何かを選択するうえで
経済という視点は
もちろん重要です。

しかしながら、
それよりも何よりも、
この問題に関しては、
根本的にもっと
大事なことが
あるのではないかと
思うわけです。

時に猛威を振るう
自然界の中で暮らしている以上、
完璧に身の危険を回避することは
無理ですが、

しかし同じ人間の成す業により、
私たちの暮らしに
大きな不安を来し、
あるいは
多くの人を傷つけるのならば、
如何に安かろうと、
それはまっぴらごめんです。

一方で、
他の手段で発電することにより
仮にコストが上がってしまう場合、
相当社会全体に
負担をかけてしまうではないか、
という反論が
待ち構えていそうです。

しかし例えば、
ここ数年の住宅業界を
見てみましょう。

ここ数十年、
コスト低減をめざすばかり、
あまり身体によろしくない材料を使ってまで
住宅建設を続けてきた住宅業界ですが、

数年前より、
住まい手にコスト負担を強いてまで、
伝統工法等の一部の例外を除き、
24時間換気設備の設置が
義務化されました。

さらに言えば、
電気代の負担もかかります。

火災警報器や、
ガスコンロの安全装置も
つい最近義務化されましたが、

これも結果的には、
私たちにコスト負担を強いてまで、
安全確保を図っているわけです。

例に挙げた制度のよしあしは
ここでは置いておいて、

電力に関しても、
同様の視点、同様の方法で
仕組みを作ることは
難しいことなのでしょうか。

ああ、そうか。

それとも住宅業界は、
それによりかえって経済が潤うから、
パパっと制度ができたのかな?

世の中やっぱりカネですかい。

いややはり、
人間として生きるうえで
大切なことを大切にした
世の中の仕組みで
あってほしいと思います。

おサイフを大事にするばかり、
我が身を傷めつけてまで
世の中を成り立たせようと
しているのならば、
私たちの世の中は
相当不思議なところです。

夜の玄関

カテゴリー: 鎌倉た邸

鎌倉た邸にて。

玄関では、
スギの列柱と
ヒマラヤスギの列梁が、
お出迎え。

とくに夜暗い時は、
ヒマラヤスギが
灯りに照らされて、

何ともいえぬ
甘い香りとともに、
存在を主張します。

2011年9月3日

階段上がると

カテゴリー: 鎌倉た邸

鎌倉た邸にて。

階段を上がりきると、
そこにはすっきりと小屋梁の見える
大きな広間があります。

左手には、
先日紹介した
空と緑が見える大きな窓、

燦々と光が射しこむので、
ついそちらに
吸い寄せられそうになります。

2011年9月2日

道具と仕事場

カテゴリー: 今日のできごと

先日の改修工事の現場にて、
建具屋新井さんの道具箱を発見。

以前から気になっていたのですが、
さすが新井さん、
改めて眺めてみると、
材の使い方が心にくいです。

そればかりではなく、
自分でこしらえるので、
自分が使いやすいように
とてもよく考えられています。

これも一つの
段取りですね。

やはり仕事のできる職人は、
道具のことを
とても大事にしています。

そして仕事場が美しい。

ものづくりの現場は、
いろいろな刺激を受け、
いろいろなことを
教えてくれます。

自分への戒めを込めて。

2011年9月1日

空と緑と椹の板

カテゴリー: 鎌倉た邸

鎌倉た邸にて。

2階の畳の間に座り、
東側を望むと
大きな硝子戸越しに
見えてくる
空と緑の景色が
とても好きです。

少し小高い丘の上に
この家は建っているのですが、

床に座り、
少し上向き加減の視界から、

バルコニーの横格子と
腰から下の摺り硝子が
下界の景色を消去し、

白く透明感のある
椹の床板の向こうに、
空と緑だけを
映し出してくれます。