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2006年10月23日

巾二寸三分でも職人魂

カテゴリー: 横浜な邸


N邸の外壁の足元の水切り。
ガルバニウム鋼板で作っております。

外壁が長いので、どこかで重ねて継ぐ必要があります。

重ねるということは、どちらかが上でどちらかが下になるわけですが、例えば左を上に重ねた場合、左側からみるとその継ぎ手はほとんど気になりません。
一方、同じ部分を右側から見ると、薄い金属の板ではありますがその小口が見えるため、
「あ、継いでいるな」ということが分かります。

そこで板金屋の鈴木さん。
よく見るであろう方向から見たとき継ぎ手が気にならないように重ねる向きを決めていただいています。
鈴木さんから提案があったとき、「なるほどな」と思いました。

こうした職人さんの気遣いと心がけ、とてもうれしいですね。
巾二寸三分の話ではありますが、こうした積み重ねが、よい家へとつながるのです。

2006年10月17日

荒壁土が乾いてきた

カテゴリー: 横浜な邸


最近よいお天気が続くので、9月に塗った荒壁土も、すっかり乾いてきました。
外から見ると、よい感じで‘サビ’が出ています。

2006年10月2日

空間の骨格が見えてきた

カテゴリー: 横浜な邸


現在進行形のN邸の様子。
週に2、3度現場に足を運んでは、打ち合わせと確認の日々。
現場に居ると、時間が経つのが早いです。
今だいたい午前に行くことが多いのですが、あっという間に昼の時間。

現場は、荒壁土が乾き始め、床を貼り始めているところです。
だんだんと空間の骨格が見えてきました。

柿渋を塗った木も、だいぶ色が落ち着いてきています。

2006年9月11日

泥の誘惑

カテゴリー: 横浜な邸


Nさんの家に、半年前に仕込んだ泥が塗られ始めました。
当初赤っぽかった泥は、藁と混ぜて十分に発酵することにより、深緑色に。
その泥を、縦横に編みこんだ竹の間に、押し込むように塗っていきます。

泥が竹の間から団子状にむにゅっと顔を出すことになるわけですが、それを見ると指先でつつきたくなる誘惑に駆られます。

2006年9月6日

竹小舞も八合目

カテゴリー: 横浜な邸


今週から左官屋の湯田さんのところの職人が4人入るようになり、竹小舞かきもだいぶ進んできました。
現在建物は、「竹籠」状態です。

夕方、作業用の照明を建物の中で点けていると、建物全体が竹であしらった巨大な照明器具のようです。

視線は遮るが風と光は通す細かい竹の格子、こうしてできるたび、この状態をどこか一部に残しておきたいと思ってしまいます。
建て主のNさんも、壁の一部を指差して冗談交じりにそのようなことを仰っておりました。

そうです、指を差した先は外の壁です。
しかし、古い民家を見てみると、竹小舞を一部残した小窓をたまに見受けます。
昔の人たちも、「やっぱりここは風と光を通すか」とか言って、せっかくだから竹小舞の部分を残したいと思ったのかな。
Nさん、本気でやってみます?

2006年9月4日

中間検査無事終了

カテゴリー: 横浜な邸


本日午後、市の中間検査。
主に配置と構造に対する検査です。
大きな問題もなく、無事終了!

数年前の建築基準法改正により、伝統的な建築構法もだいぶ取り組みやすくなりました。

もっとも、法の基準を守るということに留まらず、安心感を与えるような力強さと、伝統構法ならではの律動感ある構造計画を、これからも提案していきたいと思います。

2006年8月29日

竹小舞ちゃくちゃくと進んでおります

カテゴリー: 横浜な邸


今週も相変わらず湯田さんが一人で竹小舞かき。
ちゃくちゃくと進んでおります。
去年、I邸で自主施工した際にそのたいへんさを実感しているので、一人でここまでたどり着く姿を見ると、やはりさすがだと思います。

竹小舞が取り付けられ、割った竹が格子状に組まれた姿は実に美しく、また気持ちよい風がそよそよと通り、願わくばこのままとっておきたいと思うほどです。

2006年8月22日

竹小舞始まる

カテゴリー: 横浜な邸


今日から竹小舞かきが始まりました。

左官屋の湯田さんの仕事です。

いつもならば湯田さんのところの職人3〜4人で仕事をされるのですが、他の仕事の都合で今一人で作業をしています。

一人だとたいへんなので、建て主のNさんもやってみることにしました。

2006年8月21日

風が身体を突き抜ける

カテゴリー: 横浜な邸


屋根は野地板が貼り終わり、そのうえに防水紙が貼り終わった状態です。

野地板を下から見上げたところ。
基本的には天井を貼らないので、これが「化粧」となります。

防水紙は、不織布によるもの(商品名:ルーフラミテクト)で、共和建材の五十嵐さんに教えていただきました。
これですと、野地板の通気を確保しつつ、防水することができます。
アスファルトを使っていないというだけでも、ホッとします。

状況を確認するために、屋根に登りました。

周りには遮るものが何もなく、風が身体を突き抜けます。
夕陽も美しい。
夕陽は、夏の終わりの表情でした。

気持ちよいので、しばらく棟のところで佇んでしまいました。

2006年7月30日

‘祭り’のあとに思う

カテゴリー: 横浜な邸


N邸上棟後、現場に板を広げて上棟のお祝い。
藤間建築工房のこれまでの仕事をねぎらうとともに、これから工事に携わる職方たちも集まり、今後の工事の安全を祈願しました。
Nさん、立派な祝いの場を設けていただきまして、ありがとうございました。

祝いが終わった今、祭りが終わった淋しさを感じつつ、様々な感慨が頭をよぎります。

K邸のKさんご夫婦や柿渋塗りで多大なる協力をいただいたS藤さんが見学に来ていただきました。

I邸(ピスカリア)の棟梁の後藤さんと現場で再会することができました。

方々から集まってくれた大工同士、大工技術について議論を交わしていました。

吉岡木材さんからは、「この家では木がよろこんでいる」と、うれしい言葉をいただきました。

Nさんからは、「こうした伝統構法による家づくりをぜひ続けてもらいたい」と、勇気付けられる言葉をいただきました。

こうした感動的な時間は、建て主さんのご尽力はもちろんとして、大工の技術と誇りを結集した伝統的な家の作り方によるところも大きいと感じます。
すばらしい建築技術と職人集団の継承のために、建て主さんたちの満足のために、森や木のために、そして自分自身の使命として、今日集まっていただいた面々により、私たちの住む地域の周辺で、こうした家づくりを一つ一つ、着実に継続していきたいという思いをいっそう強くしました。