おとなり同士なのに
甲州武川の古民家にて。
先月楽しく塗った土が
乾いてきました。
おとなり同士なのに、
壁の乾き具合に差が出るとは
おもしろいものです。
コンパクトな浴室と洗面所の
間仕切りは腰壁のみ、
開放的な水廻り空間に、
コンパクトなゆえに
開放性をあまり失わないかたちで
間仕切りを設けてほしい、
というご要望に応えて、
支柱と建具を取り付ける
改修工事を行いました。
平面形状は台形、
建具が大きすぎると、
開閉に支障があるので、
建具の幅を詰めざるをえず、
かといって建具を詰めた隙間を
はめ殺しのガラスとすると
従来の開放性を味わえなくなるので、
親子扉とすることを考え、
しかし子扉が親扉と
同じ方向に開くと
開放性が失われるので、
親扉と子扉の
開き方向が異なる
変則親子扉としました。
施工長さ
延べ2m未満でしたが、
大工、建具屋、硝子屋と
綿密な打ち合わせを重ね、
工夫が凝縮された
楽しい仕事となりました。
久しぶりに
食堂ぺいすに行きました。
たまたま偶然
今朝の電話で
大町に用事ができた
ということもありますが、
いちばんの目的は
今朝「じゅい展」のことを
フェイスブックで見かけて
それにとても行きたかったのです。
たてものを作っている時は
畳の上を無邪気に走り回る
幼い子どもだったのに、
今はこんなすてきに
絵で表現できるなんて、
とまるで「ホントのおじさん」のように
目を細めてしまいました。
とくに「音」の絵は
本当に感心しました。
また久しぶりに
私の大好きな胎内の間に。
私が一人
土に包まれた静寂の中、
佇んで絵を眺めていいると、
幼い女の子が楽しそうに
木登りを始めて、
私も楽しい気持ちになりました。
私は丸一日ずっとここに
座っていられる自信があります(笑)。
ぺいす夫妻には
いい迷惑だと思いますが(笑)。
ほぼ骨になった
上里は邸にて。
土を落とした壁から
昔の竹小舞の様子を
見ることができました。
私が最近取り組む古民家の現場では
ほとんどが細い葦や篠を使っていたのですが、
ここは真竹を割ったもの。
施工方法も
今私が行っている内容に近く、
並々ならぬ
親近感を感じるとともに、
全て作り直さずとも
ちょっと傷んでいる部分を直せば
またすぐに土を塗り直すことが
できるな、と思いました。
時代を超えても
技も材もほぼ同じだと、
遠い未来でも
直し続けられる
可能性を感じました。
直すに伴い、
扱いに困るゴミが出ないというのも
ステキです。
学校の改装工事にて。
教室の入口に
木建具が入りました。
従前の扉は
戸車周辺がへたってしまい、
あけたり閉めたりするのに
踏ん張って力を入れなければ
ならないほどでしたが、
これですーっと
動くようになりました。
これだけで学校側からは
喜ばれたのですが、
無垢の杉で作った建具は、
やはり感度豊かな子どもたちに響くのか、
私が打ち合わせのため
教室にいる間、
何人もの生徒たちが
「これいいー」などといって
さすっていきました。
見た目だけではなく、
香りや食感、
子どものうちに
「本物」が五感に響く
場を作ることができれば
うれしいです。
ところでこの建具は
透明の窓の下に
12枚の板を割り付けています。
12の歳を重ねて
この学校に入り、
廊下から6年間の学園生活を
透明な窓越しに映し出す、
というメッセージを込めた12枚です。