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2015年1月7日

きらくな版今後の省エネルギー対策のあり方に対する意見

カテゴリー: 家づくりの理念


今後の住宅・建築物の省エネルギー対策の
あり方に対する意見へのパブリックコメントが
年始早々の昨日〆切だったので、
駆け込みで以下のとおり
意見を述べさせていただきました。

色々書きましたが、
つまりは様々な暮らしの哲学がある中で、
それらの一部に制約を与えてよいものか、
という疑問を投げかけたいと思っています。

建築界の絶滅危惧種の主張の一つとして
お読みいただければ幸いです。

・・・・・・・・・・

「検討趣旨」について
「居住・執務等のために消費されるエネルギー量は、他分野に比べ増大傾向が顕著であり」,とありますが、居住のために消費されるエネルギー量のうち約1/3を占める暖房エネルギーについて、ここ50年間の一戸当たりの消費量の推移を調べてみました。1965年から1973年の間、つまり高度成長期に一気に1.68倍に膨れ上がり、それ以降は現在に至るまで、ほぼ横ばいまたは漸増傾向にあります。一気に増加した1965年から1973年にかけては、こじつけかもしれませんが、土壁が衰退し、現代的な乾式工法の黎明期と一致します。つまり伝統的な工法を手放し、現代的な豊かに見える生活を手に入れた結果、暖房エネルギーがわずか10年足らずで1.68倍も増えました。さらに、いささか皮肉的に捉えると、30〜40年前は断熱材がほとんど入っていなかったのに対し、ここ十数年は「省エネ」の概念が浸透してほぼ必ず断熱材を入れていますが、暖房エネルギー量は減るどころか、少し増えています。
いずれにしても、以上のことを含め、もしエネルギー消費量の増大が顕著だとすれば、どの分野の増大が顕著か、詳しい分析を行う必要があるように思います。

「講ずべき施策の方向」について
 私たちが目ざすべきは、あくまでも「省エネルギー」です。外皮性能の向上だけが着目されていますが、無駄な物的消費を抑える、エネルギーに対する課税を強化する、などといった、他に効果のありそうな方策にも着目すべきです。
 実際、「省エネルギー化」を図るために、今すぐに取り組むことのできない建築物の改善よりも、暮らし方を見直すことにより解決しようとする国民が少しずつ増えてきている実感があります。またその暮らし方を見直す契機づくりを、国が行うべきと考えます。

「外皮性能の確保」について
 日本建築家協会(JIA)が建築の外皮性能とエネルギー消費量の相関関係の調査を行い、その調査に関わらせていただきましたが、外皮性能とエネルギー消費量が比例的な関係にあるとはいえず、むしろ住まい手の過去の生活履歴や暮らしの哲学にかなり影響されると私は推測します。
確かに外皮性能を上げれば、一時的に現在よりも消費エネルギーが低減する傾向にあると思うのですが、しばらくして外皮性能の高い居住環境に慣れてしまえば、再びエネルギー消費量は増え始め、あるいは私たちの温度変化に対する適応力がますます劣っていくのではないかという懸念を抱いています。事実、数十年前までは夏季にエアコンがないのは当たり前でしたが、現在ではなくては暮らしていけないと考えている方が多いのではないでしょうか。またエアコンの普及率と熱中症による死亡者数の相関関係を調べてみると、ここ数十年の間、逆比例関係にあるどころか、比例関係にあります。

あたたかな浴室

カテゴリー: 海老名た邸


海老名た邸にて。

畑拓さんが撮影した
写真その1。

床がコルクタイルの
足元があたたかい浴室。

サワラの板の色も、
見た目にあたたかさを
もたらしてくれます。

2015年1月6日

2015新年のカキシブ隊のご案内

カテゴリー: 告知・連絡


皆様はどんな
お正月だったでしょうか。

私は子どもが
大学受験ということもあり、

テレビでスポーツ観戦以外は、
家および事務所を
ほとんど出ることなく、

ずっと掃除と整理の日々でした。

数日間集中的に
作業することができたので、
年の初めにだいぶ
すっきりすることができましたが、

こんな正月の過ごし方もよいな、
と思いました。

さて表記の件、
新年のカキシブ隊のご案内です。

カキシブ隊とは、
大工が手作業で刻む柱や梁など全てに、
柿渋を塗る作業のことです。

柿渋を塗ると、
色合いが揃ったり、手垢がつきにくかったり、
カビや虫を避けてくれたり、

そんな効果を期待して塗るのですが、

仲間たちとの作業を通じて、
大工の仕事を肌で深く知り、
また共感の輪が広がるという、
かけがえのないタカラモノを
得ることができる場でもあります。

共同作業の楽しさと力を感じに、
ぜひ多くの皆さまのお越しを
お待ち申しあげております。

なおご参加いただける方は、
人数確認、および道具等の準備のため、
お手数ですが事前に以下の宛先まで
ご参加の旨のご連絡をお願いいたします。
tamotsu.hidaka@kirakunat.com

■2015新年のカキシブ隊

・日時…平成27年1月17日(土) 9:00〜日没まで
・場所…厚木市飯山 吉岡木材
・集合…9:00現地集合(本厚木駅からバスでアクセス可能です。)

【連絡事項】
・持物:作業できる服装、運動靴、タオル
(柿渋は衣服等に付着すると、二度と落ちません。)
・雨天中止の場合、当日7時までに作業実施を決定のうえ連絡申し上げます。
・ご都合のよい時間だけでもOKです。
・交通手段、詳細の場所等の事務連絡は、改めて個別にさせていただきます。
・昼食は用意、またはごちそうします。
・交通費を支給させていただきます。
(一律1,000円とさせていただきます。)

2015年1月5日

2015きらくな年賀状

カテゴリー: 今日のできごと


新年明けまして
おめでとうございます。

本年も変わらず、
伝統的な手法を参考に、
現代を心地よく楽しく
暮らすための場づくりに
努めてまいりたいと思いますので、
よろしくお願いいたします。

さて今年の年賀状は、
「光と影を編む」と言葉を添えて
「きらくな網戸」を
紹介させていただきました。

現在きらくなたてものやが
定番のようにこの横格子網戸を
使っているので、

いつしか私の仲間たちは、
これを「きらくな網戸」と
呼ぶようになりました。

よく言われることですが、

ものごとには必ず
陰と陽がある。

影があるから光が生きる。

そんなことを暗示させる
「きらくな網戸」ですが、

この網戸は約三年前、
実は家づくりに要するおカネを
少しでも削減しようと考えた末に
生み出されたもの。

当初は、硝子戸、網戸、雨戸、
という三種類の引込戸を
設ける予定だったのですが、

雨戸は家を風雨から守る、
というよりは、

暑い日の夜、
安心して風を通したいという
要望を踏まえてのことだったので、

だったら建具の本数を減らすために、
鍵を掛けながら
風を通すことができないものかと
網戸をデザインすることにしました。

結果、
当初の目的を果たすだけではなく、
この光と影を編むような建具の影が
とても美しく、
また思いのほか外の風景を
阻害しないので、

とても気に入って、
それ以来ことあるごとに
提案しています。

このように、
かけるおカネを減らす、という
一見「陰」の要素にみえることですが、

それがあるからこそ、
いろいろと知恵を巡らせ、
新たな工夫という
「光」が生まれる。

その意味でも
この「きらくな網戸」は、
「光と影を編む」象徴とも
いえるのではないかと思います。

これからは人口が減り、
それに伴って
私たちがいる建築の世界も
需要が減って、

そろそろたいへんな時期に
差しかかろうとしています。

ましてや伝統的な工法は、
「絶滅危惧種」。

そんな「陰」「影」の要素が
押し寄せる時代だからこそ、

それらに打ち勝つとか、
負けるとか、
そういうことではなく、

如何に影に光を
織り込むことができるか、
私たちの生き様が
問われるのだと思います。

そんな思いで今年一年、
引き続き楽しく心地よく
暮らしていきたいと思いますので、
皆さまよろしくお願いいたします。

2014年12月31日

年末恒例、家族でピスカリア

カテゴリー: 今日のできごと


昨晩は家族でピスカリアへ。

年末最後の営業日の夜、
家族でここへ来るのは、

たとえ子どもが来春
受験だろうと(笑)
毎年恒例になりました。

なかなか家族のために
時間を割けず、

家族の器を作る者として、
もう少し自分の家族を
大事にしなければ、
と反省しきりの日々ですが、

きらくなたてものやを
立ち上げて間もない頃、

幸いにしてこの場所と
ご縁をいただいたことで

家族で何かというと
家族みんな大好きなこの場所へ
通うこととなり、

こうして家族と
楽しくおいしく気持ちよく、
変わらず過ごすことができるのは、
本当にこの場所のおかげです。

きらくなたてものやの活動で
大事にしたいことは、
家族、楽しいこと、
おいしいこと、気持ちよいこと。

なんというかピスカリアは、
自分にとって色々な意味で
原点の一つなのです。

その原点を
十分に堪能した今、

今日は目いっぱい
来年の準備に
取り掛かろうと思います。

自然栽培によるキタアカリの
ニョッキ。

これは本当にうまい。

季節野菜の
スパゲティ。

数あるパスタの中で
結局これがいちばん好きかも。

この季節限定の
パネットーネ。

ピスカリアのドルチェは、
どれ食べてもおいしいので、
本当に迷います。

9年近く
使い込まれてきた
クリの床板。

いい感じに、
色づいています。

2014年12月29日

結のみかん

カテゴリー: 今日のできごと

今日は鎌倉の仲間たちと
小田原で約300年続く、
みかん農家のあきさわ園さんへ
農作業のお手伝いに
行ってまいりました。

あいにくの雨でしたが、
雨でもやることはたくさんあって、

今日はみんなで
みかんを拭いたり、
みかん小屋で
保管用の箱に詰めたり、
出荷用の袋に詰めたり、

みっちり日が暮れるまで
働きました。

普段はこの作業を
家族だけで行っているようです。

少人数で
この単純作業の繰り返しを
行ったとすれば、
途方に暮れるだろうと
想像してしまうのですが、

今日のように
たわいもない話でもしながら
大人数でやれば、
楽しい、気持ちいいとすら
思える作業です。

これは同じく
膨大な手間を要する
竹小舞や泥コネなどと
一緒ですね。

単純作業は、
「現代版結」の仕組みのもと、
共同作業にすればいい。

今日初めて出会った人も
共同作業を通じて達成感を共有することで、
なんだかいつの間にか
仲良しになったような気がします。

しかもこうした農作業の場合、
ヒトとヒトとが交わるだけではなく、

労働の対価が
とてもおいしいみかん、という
モノ、コトの交換なのもいい。

また折りを見て、
みんなで押しかけたいと
思います(笑)。

おっと、
来月1月14日の竹伐りは、
ここで行うのでした。

また竹林が
光と風の通る空間になるのが
楽しみです。

みかん畑の一角で
勢いよく生えている竹。

次回はこの竹を
いただく予定です。

2014年12月28日

サケを囲んで

カテゴリー: 今日のできごと

昨晩は今年最後の
鎌倉や邸での集まり。

今年も何度となく、

たくさんのおいしい
持ち寄りごはんを囲みながら、

たてものやエネルギーの
活動を通じてご縁をいただいた
気がおけない仲間たちと
夜遅くまで語り合ったり、

あるいは新たな出会いを
いただいたりしてきましたが、

今日も北海道の鮭を使った
様々なおいしい料理と、
食堂ぺいすのお寿司やお菓子を
いただきながら、

いつの間にか日付を
またいでおりました。

今「幸せな時間は?」
と問いかけられたら、

真っ先に
思い浮かぶことの一つは、

この場所での、
身も心も解きほぐされる
もう一つの大家族といるような
この時間です。

最近自分の仕事は、
たてものやエネルギーを介して、

人と人、
ものと人をつなぐ
つなぎ役なのかな、

と思っているのですが、

その積み重ねが
この幸せな時間を
作ってくれているような
気がします。

これが今私が語れる
私なりの幸福論。

その先に待っている
幸せな気持ちをを信じて、

ご縁がかみ合う歯車を
来年も引き続き
回し続けていければと思います。

2014年12月27日

銅の洗面流し完成

カテゴリー: 鎌倉大町み邸

耐震補強および外壁張り替え中の
鎌倉大町み邸にて。

銅に張り替えた
洗面流しが完成しました。

銅の色が妖しく光り、
一気に華やぐ空間になりました。

またこの経年変化が
楽しみです。

2014年12月26日

2014きらくな忘年会

カテゴリー: 今日のできごと

きらくなたてものやは、
公式には今日で仕事納め。

道具部屋を整理し、
年賀状も用意して、

夜はきらくな忘年会。

所員は私含めて
3名の事務所ですが、

毎年恒例、
きらくなたてものやを支えてくれる
たくさんの仲間の職人たちが
たくさん駆けつけてくれて、

今回も楽しい夜でした。

中には鎌倉から遠い、
埼玉県や青梅からも
何人か来てくれました。

紙に線を描くだけでは、
たてものは現実のものとはならない、

哲学を共有し、支え合い、
時に提案し合い、
腕を磨いた各種の職人が
一通り揃ってこそ、

たてものづくりが成立します。

この仲間たちあっての
きらくなたてものや、

来年もこの仲間と
仕事できる喜びをかみしめながら、
たてものづくりを進めてまいります。

厨房機器取付の日

カテゴリー: 鎌倉浄明寺に邸

鎌倉浄明寺に邸にて。

今日は厨房機器取付の日。

電気屋さんが
アイランド型の
レンジフードの取り付けに
四苦八苦しています。