帰ってきた
今日、大学時代からの友人、K田が4年ぶりに上海から鎌倉に帰ってきました。
子どもたちも見ない間に大きくなって、我が家の周辺は賑やかな日々になりそうです。
今日は山梨で小屋作りの初日のはずでしたが、雨のため中止。
私自身、とても楽しみにしていたので残念ですが、しかし思いがけず、久しぶりの家でゆっくりとした日曜日で、おかげで図面作業が捗りました。
ここのところ肉体労働が続き、身体が少し疲労気味だったので、「恵みの雨」だったといえるかもしれません。
昼は、これもまた久しぶりに家族揃って葉山のピスカリアに。
そして今回、初めて父と母を招待しました。
食事後は小雨のぱらつく森戸海岸へ。
子どもたちは、天気に関係なく、久しぶりの海に大喜びでした。
防波堤の先に立ち、波が押し寄せるたび、大声を上げてバンザイしたり、のぞき込んだり。
波と会話しているようでした。
夕方は、近所のスーパー銭湯へ。
これもまた私にとって久しぶりのことです。
そこで1時間ばかしゆっくりとしてきました。
雨よありがとう。
昨日はNさんの柿渋塗りの後、S藤さん、T眞くん、F村くんと、葉山にあるピスカリアに行こうということになりました。
ピスカリアは、5月までに毎週のように足を運んでいましたが、実に久しぶりです。心なしか木の色合いも少し落ち着いてきたようです。
食事の時間まで少し時間があったので、徒歩1分、森戸海岸まで足を伸ばしました。
人影の少ない、しかし夏の到来を感じさせる海は実に気持ちよく、4人何をするというわけでもなく、波打ち際で足を止め、しばらく佇んでいました。
先ほどの雨がちの天気が信じられないほど、夕暮れの美しい海でした。
しばらくしてピスカリアに戻り、食事をいただきました。
(T眞くんは所用によりここで帰宅しました。)
久しぶりにシチリア料理を食べて思いましたが、酸味の多い、さっぱりしたこの料理は、もちろんいつ食べても美味しいのですが、とくにこの暑い夏の時期によく合います。
さらに、地中海に囲まれたシチリア島の料理は、魚料理が中心。
美味しい魚が採れる葉山の風土によく合います。
最初Iさんから「肉は置かない」と聞いたとき、お〜、なんと思い切ったことを、と思ったものですが、かえって理念が明確になってよいですね。
また、伝統的な構法で作った木と土の建物は、とくに夏気持ちがよい!、と改めて思いました。
蒸し暑さが残る夕暮れ時に訪れたとき、お客さんがいない時間ということもあってエアコンを入れていないようでしたが、それでも建物の中では自然で清涼な空気を感じました。
暑い葉山の夏、ピスカリアを訪れた皆さんには、シチリア料理とともに、ぜひこの空気感も味わっていただければ、と思います。
ピスカリアで食事をした後、一色海岸に足を伸ばして、Blue Moonに行きました。
竹でできたこの海の家は、海風と夜闇に響く波の音が実に気持ちよく、そして海の上では、家の名前のとおり、朧に光る月が夏の夜空を照らしていました。
店の中では、家族やいろいろな仲間たちが、テーブルごとに賑やかに楽しそうに、ひとときを過ごしていました。
家族で犬の散歩がてら、そこで暫く休息している、なんて人たちも見かけました。
確かに全体的に賑やかなんだけど、街なかの喧騒とは明らかに異質の、何というかそのまま眠りに落ちてもよさそうな、ゆらりとした心地よい音なんだなあ。
というわけで、葉山に居ると、今日の海といい、ピスカリアといい、Blue Moonといい、時計なんて要らないワイ、と思います。
腹と眠気と空の色が、時計代わりです。
というよりも、これが本来の人間が生きるリズムなんだろうな。
Nさん、10回目の柿渋作業。
今日は、2階の床梁を中心に、約20本塗りました。
参加者は、
Nさんご夫婦
S藤さん(4回目!)
T眞くん
F村くん
と私の6名。
皆さん、ありがとうございます。
今日は、4寸9寸の平角、7寸尺の平角など、ずっしりと重い材が多かったので、男手が多くて助かりました。
今まで大工の藤間さんと私とで運び役を務めていましたが、中には2人では運べないほど重いものもありました。
これだけ重いと、塗るときに木材を回転させるのも一苦労です。
いつもは1人でひょい、と回せますが、今日は3人がかりで回しました。
今日で梁はおしまい。
これからは、7/25〜7/26の上棟に向けて、柱と小屋束を塗ります。
あともう少しだー。
今や土曜日恒例の焼杉作業。
あいにくの雨模様でしたが、雨でもやることはたくさんあります。
板の洗い作業を中心に行いました。
いつもと少し違うといえば、うちの家族も初参加。
だいぶ楽しんだようです。
ヨメは、心地よい疲労感を感じた、と言っておりました。
よいダイエットにもなったようです。
ムスメは相変わらず元気な声が、材木屋中に響き渡っていました。
ムスコは、午前中はKくんと材木屋の中を‘探検’して元気に遊んでいましたが、昼前に、大きな試練を味わいました。
おおごとでなくてなによりでしたが、こうして「男」になっていくのです。
一年の折り返し時点、そして本格的な夏の幕開けの前夜のこの日、私の誕生日でした。
色々な方から温かいお言葉や贈り物をいただき、ありがとうございます。
いくつになっても、誕生日は一つの節目、新たな気持ちになります。
ところで、子どもたちは私の誕生日を一緒に祝おうとしていたらしいですが、今日に限って帰宅が遅く、そのかわり2人からそれぞれ置き手紙をいただきました。
こうした贈り物は、本当にうれしいですね。
その中に、小さな栗クリ頭の詩がいくつか入っていましたので、そのうちの一つを紹介します。
・・・
題:たんじょうパーティー
てがみになにかかいてある
それはたんじょうパーティーのごしょうたい
コーヒィカップにのってレッツゴー
クルクルクルたのしいな
おいわいしよう
ろうそくフーフー
ラララたのしいパーティーだ
ララララ
この季節、仕事部屋で頭上をかすめる風が、なんとも気持ちがいい。
というわけで、風に乗って、風の話を思いつくままに。
毎週、杉板を焼いています。
杉を上手に、早く焼くコツは、火を風に乗せること。
風に乗った見えない火は、遠くまで、柔らかく板を焼きます。
板を焼いていると、客観的には灼熱の世界で過酷ともいえる状況なのかもしれませんが、風を感じ時を忘れ、一人別の次元の世界に行ってしまったかのような気になります。
自転車で旅に出ると、常に風と会話することとなります。
逆風のときのつらいことつらいこと、
そして風に乗ったときの、なんとも気持ちよいこと。
とくに海沿いの道を走るときは、風とケンカしたり、仲直りしたり、と頻繁に繰り返します。北海道を走ったときは、海沿いではケンカばかりでしたけどね(笑)。
別に旅という非日常ではなくても、日々のちょっとした自転車の利用でも、風とは‘トモダチ’になります。
‘ルララ、宇宙の風に乗る’という言葉で締めるこの歌は、私の大好きな歌の一つです。
この歌を聴くたび、この歌の詩が表す意味を空想するのですが、夢のある、楽しそうな空間や状況が思い浮かびます。
そう、風に乗れば、夢見心地。
一方で、風は、「風土」という言葉から連想されるように、その土地固有のものでもあります。
昔から、なぜというわけでもなく、「風」という字の形と意味、「カゼ」という響きが好きでした。
そして今、私は夏の夜の風を感じながら、風土、風景、風情、風流…、そして周りから目立たなくても夢を感じ、存在感のあるような、風のような仕事をめざしていきたいと、一人そうつぶやくのでした。