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2006年4月2日

京都のまちを徘徊〜瓦の軒先を見る〜

カテゴリー: 今日のできごと

ヨメの帰省のため、年に2〜3度は関西に行くのだが、その度に一日は一人京都に足を運んでいる。
毎回だいたいの方面は決めるものの、目的もなく、気の赴くままにぶらぶらと歩くことにしている。
今回は、三条〜四条の間、まさに街中を歩くことにした。
京都の街中だから、碁盤の目をジグザグに歩く。

京都の街中を歩くと気がつくことだが、そこに建っている古い建物はだいたいが、
・前面には細かい間隔の格子
・前面の壁は腰までが板壁、その上が左官壁
・妻側の壁は縦張りの板壁
・屋根には瓦
という構成。
それしかないといっても言い過ぎではないくらい定型化されている。
しかし、その定型化された建物の一つ一つをよく見ていくと、壁にせよ瓦にせよ一つ一つ微妙な差があることに気がつく。
その中で建物の持ち主は、自分の美意識と個性を表現している。
もしくは、時代ごとの流行が反映されているのかもしれない。
いずれにせよ建物の意匠の微妙な差を発見していくことは、街なかで宝探しをしているようで、本当に面白い。
デジタルカメラでそれらを採取して歩いていたら、あっという間に3時間が経っていた。

まずは京の瓦の世界を紹介。
軒先の意匠に注目してみる。
以下の写真は全て何百mも離れていないところで採取。


鎌の軒先。
鎌の軒先はどちらかというと細く緊張感のある印象を与えるが、ここでは漆喰の曲線の影響で柔らかい感じがする。


鎌の先に唐草模様が入っている。
唐草模様が入っていることで、こちらも柔らかい印象がある。
また、唐草模様が入っているということは、格式も高いのかな?


模様がたくさん入っている。
派手ですね。
この模様は家紋かな?


分厚い一文字の軒先。
重厚感がある。
格式の高い家柄なのだろうか。


一文字の変形。
(きっとこの形状に正式名称があるに違いない。)
この形状は初めて見た。
すっきりしてなおかつ柔らかい印象である。


同じく一文字の変形。
お寺さんの塀で採取。
一つ前の写真よりも角ばっていて、カチッとした印象である。

2006年4月1日

もうひとつの故郷に顔を出す

カテゴリー: 今日のできごと


昨日から4月3日まで、子どもの春休みを利用して、また私の友人の結婚祝いへの出席を兼ねて、滋賀県にあるヨメの実家に滞在。

この日は、子どもといとこを京都動物園に連れて行くことにした。
滋賀県にあるヨメの実家から京都に入るのに、国道1号がどうも混んでいたので、山中越えを使うことにした。
そうすると、私が学生時代住んでいた下宿の近くを通ることになる。
めったにない機会なので、立ち寄ってみる。

古い建物だったし、あれから10年以上経っているのでどうなっているかと思ったが、全く変わっていないことに安堵する。
横に流れる白川のせせらぎの音の中で、しばしそこに佇みながら、当時の生活ぶりを思い出す。
10年以上前の時間旅行だ。
まさかここに子どもを連れて来ることになろうとは。

ここの住まいは、家賃が14,500円/月であった。
そしてその家賃は、毎月大家さんに手渡し。
毎月お金を渡しに行く度に、大家のおばあちゃんの昔話を聞いたものだ。
10年以上前のことだが、かなり珍しい家賃設定と送金方法。
そういえば、当時グランド通いのためにポンコツ車を持っていたが、その駐車場代が17,000円/月だったから、車のほうが「高級」なところに住んでいた。

仕送りは決して潤沢ではなく、しかし当時ラグビーに明け暮れ、十分にバイトなどできなかった私としては、とてもありがたい話であった。
しかも環境はというと、白川のせせらぎが聞こえてくるばかりで、とても閑静。

で、どんな住まいだったかというと、5.5畳(京間)の居室+0.5畳の押入、便所と炊事場は共同。洗濯機も共同。風呂はなし。エアコンはもちろんなし。
当時はこれで十分満足だったし、楽しかった。
風呂は京都のそこらじゅうにある銭湯を利用すればよかったし、むしろ毎日いろいろな風呂を楽しむことができたりした。
そして洗濯機が共同で使える、というのは隠れた長所だった。
こうした下宿の場合は通常コインランドリーに頼る必要があったからだ。
まあ、たまに大きな蜂が入ってくるのと、隣で何のテレビ番組を見ているのか分かるくらい隣と音が筒抜けだったのが難点だったが。
それでもかまわず、そこにみんな女の子やたまに地元から来る友だちを呼んでいた。
「お互い様」の世界だったし、本当に迷惑だと思ったら「うるさいで!」と言えばよかった。

狭いし、夏は暑いし、冬は寒いし(とくに京都は)、客観的に見たら現代日本の中では決して良い生活とはいえなかったであろう。
しかし「足るを知る」ことで幸福を感じ、その中で生活を豊かにしようとする術を学んだ。
そして共同で暮らすことの楽しさ、共有することの合理性を体験として得ることができた。

「住まうとは何なのか」
「幸せとは何なのか」
私は今、たてものやとしてこれらの問いを考え続ける日々だが、ここでの愉快な生活体験は、その解を得るうえでたくさんのヒントを与えてくれる。


下宿から南側を望む。
右は白川、その先にちょっとした桜並木がある。
東よりも西のほうが寒かったのか、まだ開花していない。

2006年3月15日

ぜ〜

カテゴリー: 今日のできごと

本日確定申告の最終日。
一昨日から領収書の整理を始めたのだが、今朝になってもまだ少し残っている。
しかも今日は朝から会議だ。
会議が予定よりも長引き、自宅に14時30分頃戻る。
移動時間を30分見たとすると、あと2時間しかない。

人は追いこまれると「バカ力」を発揮する。
年に何度とない集中力で、何とか16時45分に作業終了。
(正確に言うとわずかに残っていたのだが)
急いで自転車をまたぎ、鎌倉税務署に駆ける。
17時ちょうどぐらいに到着し、税務署に入れてもらう。
シャカリキに自転車をこいだので、もう、冷や汗交じりの汗だくである。
汗を幾度となくぬぐい、呼吸を整え、少しそこで作業して、無事(?)確定申告書を提出した。

確定申告前は、普段使わない「脳ミソ」を使う日である。
実に気が重いのであるが、しかしこの作業を自分でやることによって、自分の経済状況と世の中の仕組みの一部をよく把握できるので、自分にとって必要なコトなのだ、と言い聞かせて作業している。
そして作業が終わり、税務署の方に書類を提出した後は、学校の期末試験、あるいは大学受験が終わった直後のような、領収書の箱とともに実にスッキリした気分になる。つまり、何だか若返ったような気がするのである。

とはいえ、こんなギリギリではなくて日程に余裕を持ってまとめるなり、また日々、とまではいかなくてもせめて月単位で自分の経済をとりまとめるなりしようと、帰り自転車をゆっくりとこぎながら、自分に強く言い聞かせた次第である。

2006年3月11日

原始の記憶が蘇る

カテゴリー: 今日のできごと


「雑木林でガーデニング!」のイベントにて作られた椅子の一つ。
そのうえに乗っているのは、木のパズル。
そのパズルで子どもたちが喜んで遊んでいた。

雑木林の木を使って工作する技術は、気の赴くままに、思いついたままに工夫して作ることができる。
形状も、割いた形なり、削った形なりで、結論は神のみぞ知る世界に近い。
(プロになれば違うんでしょうけれども)

そして、青空の下、森の中で作業するという状況が、私たちの原始の体験と記憶が蘇り、「人間」の「人間」たる確証を得るような、そんな気がした。

お手軽に椅子を作る

カテゴリー: 今日のできごと


「雑木林でガーデニング!」では、ほとんど皆さん、野外で使う用の椅子を作っていた。
見本がそうだったからかな?

何しろ簡単だ。
作ろうと思えば15分程度で作れる。
木を板状にして、その裏に3点穴を空け、その穴に入るように削った足を差し込んで叩き込めば完成!!
その手軽さがいい。
またその粗野さがかえってカッコよかったりする。

削り馬を使っている様子

カテゴリー: 今日のできごと


「シェービングホース」を使って削る様子。
使用者が手にしているのは、「ドローナイフ」。
両手に持って、手前に引いて木を削る。
ちょっとした「カンナ」がわりだ。
自分に向かって削るなんて危ない、と思うかもしれないが、両手で持って削っているかぎりは、よっぽど肩の関節の柔らかい人でないかぎり、まず自分の胴体には到達しない。
試しに何か棒を両手で持って自分の胸のほうに近づけてみるとよい。
胸に棒をつけようとするには、けっこうな努力がいるはずだ。

さて、これで削っていると楽しくて、つい自分の世界に入ってしまう。
目的もなく、ひたすら削っているだけでも楽しいのだ。
あるいは「おのれ〜」とか言いながら削れば、ストレス解消にいいかも。

削り馬

カテゴリー: 今日のできごと


写真の道具は「シェービングホース」というそうだ。
いわゆる「万力」の役目をする。
これで木を固定して木を削る。
足の動きで木を固定したり緩めたりするので、木の固定がラクラクできる。
作業性がいいのだ。

この道具は伝統的な英国の技術らしいが、昔の英国の山の人たちはこうした道具すらまず山の中で作り、そしてその道具を使って現地で椅子などの家具を作ったそうだ。
この技術があれば、一生山の中で暮らしていける。

う〜ん、うらやましいというか見習いたい技術だ。

半世紀ぶりに涙する

カテゴリー: 今日のできごと


この写真のおじさん、ひたすらナタで木を割き続ける。
「精が出ますね」と言うと、
「こうして木を割くの、50年ぶりだよ。懐かしくてうれしくって、涙が出てくるよ。昔はこうして薪を作ったもんだ。」といいながら、何に使うでもなく、うれしそうにひたすら木を割き続けていた。

うれしいではないですか。

この方以外でも、年配の方がとても張り切って、楽しんで作業したり、道具の使い方を教えていたりしていたのが印象的だった。

森林を元気にする人たち

カテゴリー: 今日のできごと


今日の「雑木林でガーデニング!」では、いろいろな方にご協力いただいた。
その中の一つは神奈川県森林組合連合会の方々だ。

朝から雑木林のコナラやクヌギを伐り、さらには隣接するスギ林の間伐を行ってくれた。
イベント中も伐採の見本を見せてくれたり、また参加者の要望に応えて、木をチェーンソーで切ってくれたりした。
私もお願いして、鍋敷き用に木を薄く輪切りにしてもらった。

存在は地味だったかもしれないが、森林のプロとして「縁の下の力持ち」的な大車輪の活躍でした。
ありがとうございます。

こうした取り組みの一つ一つが、最初は小さなできごとかもしれないけれど、参加者の人たちが森林や里山への関心を高め、結果的に森林や里山が再生されればと思っています。

I出さん、T谷さん、またやりましょう!
もしかして、今日は休日出勤でした?

生木も使いよう

カテゴリー: 今日のできごと


今日、神奈川県大井町にて「雑木林でガーデニング」というイベントが開催された。
雑木林に生えるコナラやクヌギなどを伐って、その場でガーデニングに使える道具などを作ってみよう、という企画だ。
その場で伐ってその場で使うのだから、もちろん生木だ。
生木を使うなんて、今の木造建築の目で見れば常識から外れたことであるが、実際作業をしてみると加工性はいいし、また粗野な仕上がりでよければ生木も十分使えるということが分かった。
そもそも、目の前にある材料で、即席で考え、その場で作れる、というのがいい。
野の中で暮らしていくすばらしい技術と知恵ともいえる。

さてこのイベントの講師役の1人は、クレアホームアンドガーデンの山崎氏。
写真でハンマーを振り上げている人だ。
伐った木をクサビとハンマーで、細く割いている作業である。
この人がこの雑木をその場で使う技術を皆に教えてくれた。

http://www.ruralcottage.net/clare-shop/index.htm

http://www.tamatebako-net.ne.jp/shop/shop0506.html

とても気持ちよく楽しい作業なので、この企画、いろんなところでやってみよう!と思う。
そしてこの作業が里山の再生につながるのだから、なおうれしいではないか。